がん経験を「関西の笑い」に包む43歳男性の人生 34歳での発症から9年目での挑戦

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谷島雄一郎さん(写真:筆者撮影)

「コロナ禍で自由に外出できず、不安とつねに向き合わなくてはいけない状況は、がん経験者の入院や療養生活と共通する点が多いんじゃないか? そんな気づきから、私たちがかつて実践した時間の過ごし方が、皆さんが前向きに日々を過ごすヒントになればいいなぁ、と制作しました」(谷島さん)

カラクリの活動テーマは、がん経験を新しい価値に変え、社会に役立てるソーシャルデザイン。谷島さんを中心に2015年から大阪を拠点に活動していて、メンバーは働く世代のがん経験者と様々な分野の協力者約50人。

家族から「魔女の飲み物や」とドン引きされる ?

カラクリの6人のメンバーがZoomで登場し、自粛生活向けに新たに描かれたイラストと、それにまつわる各自の実体験を語るプログラムがあった。2020年10月下旬にオンライン上で開催された、日本最大級のがん医療フォーラム「ジャパンキャンサーフォーラム2020」でのこと。

がんで胃を全摘した30代女性は、術後しばらくは固形物が食べられず、代わりに全部飲めばいいんじゃないか、と発想を変えたと語った。

「青汁をベースにいろんなものを混ぜて、オリジナルスムージーを作っていました。混ぜるものによってはめっちゃエグい色になって、家族には『魔女の飲み物や!』とドン引きされましたね。ちなみにピーマンとタマネギは、入れないほうが無難です」

つらい闘病や療養体験なら、むしろ彼女のようにおもしろおかしく伝えて、笑いを取りにいこうとする。それも関西人ならでは、だ。

司会役の谷島さんも、僕も手術で食道と胃の一部を取ったので、術後当初は食べるのが苦痛だったと共感を口にした。

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