拒食症だった彼女が「人気料理家」になった経緯 入院も経験したMizukiさんの背中を押したもの
その頃、幼なじみのスマートフォンにたくさんアプリがインストールされているのを見て、自分も何かしなければ、と見つけたのが料理写真投稿アプリ。上位になったら、レシピ本を出すチャンスがある。「普通に就職するだけでは、母に返せない。普通以上のことをできるぐらいになって、喜ばせたい」と思っていたMizuki氏は、出版を目標に店の料理を投稿するうち、アプリ内で1位となる。
編集者に目を止めてもらうために、2013年11月からブログも開始。カフェで身に着けた、「簡単・時短・節約」という切り口を生かした料理レシピを投稿し続け、フォロワーとのやり取りでコミュニケーション力も育っていく。
何より仲間ができた手応えが大きかった。実は、アプリで病気を告白したことがあった。すると、自分や家族も同じ状況にあるという人や、応援メッセージを寄せてくれた人がたくさんいたのである。
そして2014年、初めてのレシピ本を刊行し、料理家への道を切り開く。本ができたときに「山を越えた。病気から抜け出せた」という気持ちになれた。「料理家とカフェの仕事は、どちらも簡単なものではないから、両方はできない」と思っていたMizuki氏は、以前カフェオーナーになる夢を話してくれた従業員に店を譲り、料理家専業にシフトする。現在までに刊行したレシピ本は13冊、今年も1~2冊の刊行予定を抱えている。
簡単・時短・節約で心がけていること
SNS出身の料理家は、自分の読者をよく知っている。Mizuki氏も「いいね」数やインスタグラムの保存数などから、「こういう味つけが好きなのか、とか、こういう調理法なら作ろうと思うのか、と分析しながらレシピを考えます」と話す。
ブログの読者は、35~45歳の子育て世代を中心に、60代まで広がる。「家族が喜んでくれた」という声が多い。インスタグラムは25~35歳が中心で、「彼氏がおいしいと言ってくれた」「Mizukiさんのレシピならできた」といった声が目立つ。
簡単・時短・節約レシピの提案で心がけているのは、「火が通りにくい素材をあまり使わないこと。切り身魚を使うなど、下処理があまりいらないものを使うこと、合わせ調味料をあらかじめ作っておくこと」だ。
味つけも奇をてらわない。どこの家庭にでもあるマヨネーズやめんつゆといった市販の合わせ調味料のレシピ登場頻度が高い。「シンプルに塩コショウだけでも十分においしいと思いますが、献立に変化を出すためには、アレンジが必要。皆さん、そうやって日々の食事を回しておられる印象があります」とMizuki氏は言う。
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