カメラの専門家が語るデジカメ「革新の歴史」 インターネットの登場で写真に革命が起きた

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日本カメラ博物館の井口芳夫主任学芸員は「市場は縮小してもカメラはなくならない」と話す(撮影:尾形文繁)
ピーク時と比べ、デジタルカメラの出荷台数は14分の1にまで縮小。スマートフォンが普及し、カメラそのものの存在意義が問われている。
カメラという製品そのものが消えてなくなるのか。また、世界シェア9割を握る日本のカメラ産業はどのような形で生き残っていくのか。
日本のみならず、世界のカメラの歴史に詳しい日本カメラ博物館の井口芳夫主任学芸員に、カメラの歴史と将来像について聞いた。

カメラはなくならない

――スマホの普及に加え、コロナ禍もあり、デジタルカメラの出荷台数が大幅に減っています。

確かにデジカメの出荷台数は減っている。が、カメラはなくならない。

スマートフォンの普及によって、いつでも、どこでも、誰でも、きれいな写真を撮影できるようになった。誰でも写真を簡単に発信できるようになった。

今までの写真は、新聞や雑誌を通じて受け取るもの、共有するものだったが、それがインターネット上で誰でも他者と共有できるようになった。これは写真の歴史の中では革命的なことだ。

その一方、従来のカメラでないとできないこともある。例えば、ズーム機能の画質はスマートフォンよりもカメラのほうが圧倒的に良い。今後、スマホは「入門機」、カメラは「ステップアップ機」という役割分担になっていくのではないか。

カメラ市場は縮小していると言われるが、日本がカメラ大国となった1980年代のカメラ生産台数は2000万台ほど。「一家に1台」から「一人に1台」に移行していく時代で、元の規模に戻っただけとも言える。カメラの考え方も当時のようにシンプルに考えてもいいのではないか。

東洋経済プラスの連載「カメラは生き残るか」で、この記事の続きを無料でお読みいただけます。連載ではソニーやキヤノンの動向に関する記事も配信しています。
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大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説の研究者でもある。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、アニメが好き。

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