カシオ「最強スマートウォッチ」開発の内幕 強みを活かすためにアウトドアに特化した

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
先行する商品とまったく異なるスペックを持つこともあり、海外メディアも注目しているようだ

2012年1月、カシオ計算機・時計事業部の南俊二氏(現新規事業開発部長)に一本の電話がかかってきた。「これからはつながりの時代だ。新しい商品を作るから、力を貸してくれ」。声の主は当時の樫尾和雄社長(現会長)。それがカシオのスマートウォッチ開発のはじまりだった――。

2016年1月6日、カシオは同社初のスマートウォッチ「WSD-F10」を発表した。価格は税別7万円、3月下旬の発売だ。円形で、文字盤には液晶がついている。OS(基本ソフト)にAndroid Wearを採用している点では通常のスマートウォッチと変わらないが、他社とは一風変わった製品になっている。

超頑丈、スポーティなスマートウォッチ

スマートウォッチはスマホの付属品としての性格が強く、各社とも機能面の差は少ないが、カシオはアウトドア用途に特化した。5気圧防水で水辺でも使えるほか、米国国防省が定めるMIL規格(軍用の規格)に準拠した耐久試験をクリアした頑丈さが売りだ。

モノクロ液晶のモードは1カ月以上の連続使用が可能だ

あらかじめインストールされているアプリもアウトドア向け。登山用の地図や釣りの時に潮の満ち引きを知らせるアプリ、ランニング時に活動量を確認するアプリなどが盛り込まれた。これらは本体側面の3つのボタンで操作することができ、運動中でもスムーズな操作が可能だ。

それだけではない。「二層液晶」という特殊な構造を備えている。既存の製品は電池容量が小さい割に消費電力が高く、バッテリーが1日前後しかもたない弱点があった。そこで、カシオはモノクロ液晶を搭載し、時刻のみを表示できるようにした。この状態なら1カ月以上の連続使用が可能だ。通常モードと組み合わせることで、大幅に電池持ちを延ばすことができる。

次ページ開発は苦難の連続だった
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事