気仙沼で復活を遂げたカフェ「復興10年」の奮闘 サンドウィッチマンがロケ後に被災した店は今

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「(2021年)1月31日まで、東京・渋谷パルコで開催されていた期間限定イベント『ほぼ日のおやつ展。』でも、当社の『カップオンブレンド』と『焼きドーナッツ』を販売していただきました」(小野寺氏)

アンカーコーヒーのコーヒーと焼きドーナッツ(写真:オノデラコーポレーション)

「風光明媚で食がおいしい」の具体化

観光誘致の事務局「一般社団法人・気仙沼地域戦略」の理事も務める小野寺氏(通称ヤチさん)には、忘れられない言葉がある。最初に糸井氏をクルマで案内した際、「気仙沼は風光明媚で、食がおいしいところです」と説明したところ、厳しい指摘を受けた。

「ヤチ君ね、ぼくはいろんな土地に行ったけど『風光明媚で、食がおいしい』という街は日本中至るところにあるんだよ」

震災前から街づくりに意欲的だったが、この言葉で「具体性のある体験型訴求」を考え直す。ほかの人たちにも共有されていった。

やがて、地元食材を使った「気仙沼 メカ×カレー」も開発。全国の生鮮水揚げ量の7割以上を気仙沼が占める「メカジキ」をカレーの具材に使ったものだ。市内のカフェや飲食店ではカレーライスだけでなく、カレー味の唐揚げやカレー風味のソースカツ丼といったメニューもあり、アンカーコーヒーでもメカカレーを提供した。

ちなみに「気仙沼地域戦略」の代表理事は、気仙沼商工会議所会頭の菅原昭彦氏(男山本店社長)だ。小野寺氏もそうだが、実務家が兼任すれば具体的な施策も打ち出しやすい。

漁業の街・気仙沼は、それまで地域経済の8割を占めていた「水産業」だが、震災と津波で95%の製造・貯蔵設備が被災するという壊滅的な打撃を受けた。10年がたち、徐々に回復してきたが、震災以前には戻りきらない。

そこで「観光業」の強化も図った。『気仙沼 男山本店の再建に見た復興10年の重み』(2021年2月17日配信)でも紹介した「ちょいのぞき 気仙沼」などの施策を打ち出すのだ。だが集客プログラムの実施は、コロナ禍の外出自粛にも左右される。

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