気仙沼で復活を遂げたカフェ「復興10年」の奮闘 サンドウィッチマンがロケ後に被災した店は今

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アンカーコーヒーの「メカカレー」(写真:オノデラコーポレーション)

再び「アンカーコーヒー 内湾店」に戻ろう。

店の飲食メニューにはコーヒー以外に、ドリアもあれば、カレーもハンバーグもある。夜の海を眺めながらお酒も楽しめる。開放的な店内は、小野寺氏の思いが込められている。

「リビングの延長をコンセプトにしています。こういうリビングがあるといいよね、ここでごはんを食べよう、と思える店にしました。

震災前、気仙沼の港の周りには観光施設がほとんどなく、漁業関係者の事務所や関連施設が中心でした。もちろんそれも大切ですが、百貨店でいえばバックヤードの存在。欧米の港には観光施設が目立つ場所にあります。内湾地区はそんなエリアにしたいのです」

サンドウィッチマンや「ほぼ日」との出会いは、ありがたい経験で、多くの人の支援にも感謝するが、「同情に甘える時期は過ぎた」と感じている。

「もともと、ウチの店舗チェーンは知り合いに支えられています。クルマ社会なので、軽トラックからベンツまで、長靴から革靴まで、さまざまなお客さんが来られる店なのです」

アンカーコーヒー 内湾店前のデッキ(写真:オノデラコーポレーション)

近場の人と、文化も交流したい

小野寺氏が観光客に対して思うのは「マイクロツーリズム」(近隣への観光)の視点だ。

「コロナ禍で遠距離の往来が制限されるのなら、近場の人と交流したい。東北地方には約867万人の人口がいます。デンマークやノルウェーの人口が600万人未満ですから、それよりよりもずっと多い。気仙沼から少しクルマを走らせるだけで、食文化も違ってきます。

一方で気仙沼は、世界中のフィッシャーマンとも交流してきました。私の父方の祖父はマグロ漁船の漁労修理を行い、インドネシアとも交流。父は台湾事業を担当し、私が幼い頃から台湾人が泊まりにきて“オノデラホテル”と呼ばれるような環境に育ちました」

アメリカの大学に留学し、欧州でも働いたグローバル経験も生かす。高校時代にラグビー部FWで鍛えた屈強な身体で、事業を続けながら「ちょいのぞき」の本質も深めていく。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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