さかなクンが語る、漁業の現状 漁獲量が減少する中でお魚とどう向き合うか
昔ですと魚屋さんとか八百屋さんとかそれぞれの小売店がありました。お魚を好きになったのは小学校2~3年生くらいだったんですけど、毎日のようにホウカギョ(放課後)にはお魚屋さんへ行っていました。
すると「この魚は気仙沼からきたんだぞ」とか「刺し身にするとうまい、たたきでもいいぞ」とか生きた情報をくださるんです。しかし、今はとっても便利な世の中になって、お魚もお野菜もお肉も大きなお店で手軽に買えちゃいます。
素晴らしいことですが、でもそれが当たり前になってしまったり、いかに安いものを買うかということばかりに走っちゃったりしますと、お魚を獲っていらっしゃる方々が大変な状況に追い込まれると思うんですね。
大きな量販店でカツオが何百キロ、ウナギがこれぐらい毎日必要ですとなると、生産者の方もそれに合わせて集めなきゃいけないですね。日本の漁獲物だけで足りないと輸入に頼らざるをえなくなり、すると旬がなくなっちゃうわけです。
旬や産地を再認識する
でも本来魚屋さんには、春になると初ガツオが並んで、夏は一時期品薄になって、また秋になると今度は脂のこってりのった戻りガツオが並ぶわけです。カツオには2つの旬があります。でもいまは冷凍したり輸入したりして一年中店頭に並ぶわけですね。旬もよくわからなくなり、自分でさばくことも少なくなってきた。お魚を食べてはいるけれどもお魚から遠くなっていると思うんです。
お魚には旬や産地があり、生産者の方々がいるってことを今一度認識すると「あー、春だから初ガツオが食べたい!」とか「土用丑の日だからウナギ食べよう!」という発想が生まれるのではないでしょうか。一年中ウナギ食べたら、そりゃ減ってしまうと思います。旬のものを食べたいって認識が大きくなれば、お魚を扱っていらっしゃる方々も1年中同じものを並べるのではなく、そのときおいしいものをお届けしようという意識になっていただけると思うんです。
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