さかなクンが語る、漁業の現状 漁獲量が減少する中でお魚とどう向き合うか

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私たちがいただいているお魚というのはだいだい30~40種くらいらしいんです。だけど実際はたーくさんの種類のお魚が水揚げされているとのことです。食用以外では養殖魚のエサや肥料などにされますが、需要がなくて廃棄されてしまうお魚も実は多いのでギョざいます。

けれどこうしたお魚をそのお魚にあったお料理でいただいてみるとおいしいんですよ。だから、見たことないお魚でも探求してみることが大事なんじゃないかなと。地産地消と食糧自給率の向上に結び付いたら素晴らしいでギョざいます!ありがたさやおいしさ、いろんなことに気付けて、すごくいい循環が生まれるのではないでしょうか。

漁法にもっと注目を

――漁獲しすぎない、漁の際にサンゴに傷をつけないなど、自然環境に大きな負荷をかけずに獲られた水産物に付与されるMSC(海洋管理協議会)の認証などもあります。こうした水産物を選ぶことも消費者ができることの1つではないでしょうか。

 でもまだそんなに数がないんですよね(日本での認証は、北海道のホタテガイ漁業、京都のズワイガニ・アカガレイ漁業の二つのみ)。もーっと、もっともっと増やしていただきたいなと思います。

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濫獲や環境破壊など、人間に対しお魚が怒っていることをあらわした自筆の絵

漁法にももっと注目してもらいたいんです。たとえば釣り。これは群れ全体のごくわずかだけを漁獲しますので資源枯渇につながりにくいんです。かつ一匹一匹釣り上げて大事に扱うので、非常に美しい状態で鮮度も良いものが多いんです。

それと定置網(網を固定し、迷い込んだ魚を獲る方法)。これはさかなクンもすギョく大好きな漁法です。網に迷い込んだ魚のうち、7割くらいは海に戻っていくといわれています。残りのお魚はどんどん網の奥へ進んでいき、これを漁師さんが獲ります。つまり群れ全体の2~3割ぐらいしか獲らない。こういった漁法は資源管理型、あるいは持続可能な漁業だと思うんです。

いまはハイテクな機械(探知機など)でどこにどのくらいの量のお魚が泳いでるか瞬時にわかります。それで群れのほとんどや、幼魚なども漁獲してしまうことが心配されます。漁業効率は良くなっている反面、自然には大きな負荷をかけることにつながってしまうのかなあ、と。ただ、そのお魚をいただいているのは我々なので「その獲り方が悪い」とは言えないです。漁法や場所、量、大きさ、時期などをしっかりと決め、ルールを守ることが将来に向けて大事なことだと思います。

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