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日本の文化やアートに決定的に欠けている視点 片岡真実さんが説くグローバルでの日本の価値

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  • 須賀 千鶴 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長
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片岡:おっしゃるとおり、「想像力」はとても重要です。ここ10年間、美術館界でも注目されているダイバーシティーの問題には、つねに「当事者性」の問題が含まれています。美術館の展示においても、黒人や先住民に関する問題を非当事者が扱うことによって、当事者から批判されることがたびたび起こっており、毎回、議論が交わされています。

個人的には、既存の課題について、当事者が自分たちの言葉で語っているだけで、問題の根本的な解決に至るのは難しいと思っています。世の中が真に変わっていくためには、非当事者の間にも課題に対する想像力や理解が広がっていかなければなりません。

4月から森美術館では、70代以上の女性アーティスト16名に注目し、彼女たちの活動に光を当てた、『アナザーエナジー展』を開催しますが、今回の展覧会は、マーティン・ゲルマンという男性のキュレーターとの共同企画です。男性と一緒にやることが重要だと思ったのは、まさに、女性の問題を女性の中だけで語らないようにするためです。これまで開催されている、女性アーティストを集めた展覧会のほとんどは、女性がキュレーターを務めています。その努力と蓄積があって現在に至っていますが、さらに意識改革を広げるためにも、女性以外に問題意識が共有される必要を感じています。

70代以上の女性に光を当てた理由

須賀:70代以上の女性に光を当てようとした経緯は何でしょうか?

片岡:現代アート界は長い間、新しい若手の期待のホープを探し続けてきましたが、ここ10年ほどの間に、オールドウィメンに対する注目が高まっています。これだけアートがグローバルに広がると、作品の絶対的な価値や“最先端”を見極めることも困難になり、若い人の作品であれば価値が上がる保証もない。

現代アートが多方向に広がった1960〜1970年代を実体験し、その後も流行に惑わされず一貫して自分だけの道を開拓してきた女性を、既存の美術史的カノンに位置づけようとする動きが見られているのです。とはいえ、こういった動向が顕著なのも欧米中心ですから、森美術館としてこの潮流を見せるからには、アジア太平洋地域のアーティストについても深掘りしながら、紹介していきます。

須賀:大変楽しみな展覧会ですね。

片岡:参加アーティストは、あらゆる状況に柔軟に対応しつつ、わが道を歩んできた人たちばかりで、なんともいえない爽快感があるんです。メインストリームに戦いを挑む訳でもなく、自分と誰かを比較して、頂点に立ちたいという力の入れ込み方でもなく、自分がやるべきことをずっと続けていく、何か別のエネルギーを感じたことが、『アナザーエナジー』というタイトルをつけた理由でもあります。

須賀:人間が幸せにいられるかは、そういった気持ちを持ち続けられるかどうかということかもしれませんね。本日はありがとうございました。

(撮影:間部 百合)

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