パナソニック、業績「本格復活」の条件は何か 「選択と集中」が寄与、家電&車載事業が回復

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電子部品などを手掛けるインダストリアルソリューションズ事業は、5Gの本格化やテレワークが普及し、データセンター向けや通信インフラ向けの製品が伸びている。10~12月期に実現した5.6%の営業利益率について、梅田氏は「利益率2桁を目線にしている」と意気込む。

これら業績が好調な3部門は、パナソニックが基幹事業に位置付けるビジネスで、「コロナが収束しても働く場所も元には戻らず、生活様式は変化するため、自宅の快適さを求めるニーズは変わらない」(梅田氏)と予測している。

パナソニックの課題は今後も収益力を向上し続けられるかだ。パナソニックはかつて車載電池で世界シェア首位を誇ったが、近年は寧徳時代新能源科技(CATL)やLG化学など中韓勢が台頭し、リチウムイオン電池の出荷数量ベースのシェアは2019年にCATLに逆転されている。主要顧客であるテスラも中韓勢からの調達を始めており、競争に打ち勝つために追加の投資を行い、それを回収できるかが問われている。

「くらしアップデート」具体化はこれから

家電事業も、現状は日本や中国の消費者を中心に高付加価値品へのシフトが奏功しているが、美的集団など普及価格帯で圧倒的存在感をもつ中国企業が高級路線を強化しないともかぎらない。

パナソニックはハードとソフトウェアを組み合わせて継続課金できる「くらしアップデート」戦略を掲げている。梅田氏は「くらしアップデートで、最適な形に家の中をアップデートしたい」と改めて述べたが、その具体策はいまだに提示できていない。

生産撤退を表明した太陽電池では製品自体は競争力がまだあるパワーコンディショナーや蓄電池などは自社生産して、外部生産した太陽電池と組み合わせてエネルギー使用を効率化するソリューションサービスを展開する。まさにハードにこだわらずソフト面で付加価値を高める戦略だ。

同様の戦略で収益力向上の方策を家電などハード中心の事業でも見出せるのか。パナソニックの本格復活の条件はまだ揃っていない。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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