森喜朗会長の謝罪会見に不信感しか募らない訳 なぜ不用意な「女性蔑視」発言が生まれたのか
さらに森会長は、「人気のあるタレントさんが来ると、みんなが集まってきます。そうすると密になるから、どう避けるか。そういう話の例で(会場には)国会議員がたくさんおられましたが、『じゃあ何もないところなら田んぼで走るしかないね』と(話していた)。しかし、田んぼに土足で入ったりすれば、作業前ですから農作業に迷惑かけたりしますよね。『空気がこもらないし、それ(田んぼ)しかないですね、という意見もあります』と紹介しただけで『組織委員会がそういうことをする』と言ったわけではない」と釈明を続けました。
コロナ禍に苦しむ人々、聖火リレーの参加者、農家の人々。釈明の言葉にすら、これらの人々を思う言葉がなかったところに、問題の深さが表れています。森会長の意識が変わらない限り、また口を開くたびに失言のリスクにさらされてしまうでしょう。
「中止ムード」「ボイコット」のリスク増
結果的に謝罪会見は、女性蔑視のイメージを覆すどころか、辞任しなければ「国内外からの猛反発必至」「オリンピック中止のムードが高まる」「参加ボイコットもありえる」などの可能性が生まれてしまいました。
例えば、今回の発言と世間の声を聞いたアスリートの中には、「理解が得られづらいのなら、国民を危険にさらしてまで開催しないほうがいい」という人も出てきているようです。ただ、オリンピックの開催については、まだ賛否が分かれていますが、森会長の辞任を求める意見については今回の会見で一本化されたのかもしれません。
会見で見せた森会長の言動からは、「俺が今までどれだけのことをやってきたと思っているんだ」「だからこれくらいの発言でどうこう言ってほしくない」という気持ちがにじみ出ていました。しかし、今回は謝罪会見である以上、森会長の功績について論じる必要はありません。心からの謝罪をする場であり、そのうえで理解を得られたら、あるいは潔く辞任したら、これまでの功績を称えるタイミングが訪れるのです。
まだまだ波乱含みであり、今後しばらくは森会長の去就だけでなく、「組織としての自浄作用があるのか」なども含めて、この話題は注目を集め続けるでしょう。
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