森喜朗会長の謝罪会見に不信感しか募らない訳 なぜ不用意な「女性蔑視」発言が生まれたのか

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ネット上では森会長への批判の声が渦巻いています(写真:Kim Kyung-Hoon/Reuters/Bloomberg)

これは「オリンピック憲章のことを知っているから女性蔑視などするはずがない」という意思表示であり、女性スタッフへの感謝と円満をアピールしたのはそれを裏づけるためでしょう。しかし、謝罪会見でどれだけ「私は知っている」「私はうまくやっている」と言ったところで説得力はなく、むしろ謝罪の効果を減らすだけ。自尊心の強い人ほどこういうコメントをしてしまいがちですが、クライシス・コミュニケーション(危機管理広報)の観点では、最もやってはいけないアピールの1つなのです。

森会長は、「次の大会まであと半年になりまして、関係者一同、一生懸命頑張っておられます。その中で責任者である私がみなさんのお仕事に支障があるようなことになってはいけないと考えてお詫びをして訂正、撤回することを申し上げたわけであります」というフレーズで自らの発言を締めくくりました。

最後のフレーズは、頑張っている関係者(罪なき人々)の存在を出すことで、論点をずらそうとする政治家によく見られる話術。また、あえて“私”を強調したところに、「この私がわざわざこうして謝罪しているのだから、これ以上事を荒立てないでもらいたい」という幕引きを狙う気持ちが表れていました。

直後、記者との質疑応答に入ると、その「謝って撤回したのだから、もういいだろう」という思いは、ますますあらわになっていきます。

謝罪会見なのに自らの手柄をアピール

記者の「辞任をするという考えは浮かびましたか?」という質問に森会長は、「辞任をするという考えはありません。私は一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきたわけですので、自分からどうしようという気持ちはありません。みなさんが『邪魔』だと言われれば、『老害が粗大ごみになった』になったのかもしれませんから掃いてもらえばいいんじゃないですか?」と言い切りました。

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