今シーズンの冬がとてつもなく「寒い」根本理由 寒波や大雪、2月になれば少しはマシになる?

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つまり、この気圧配置だと、シベリアから太平洋に向かって風が吹くのです。これが冬の季節風と呼ばれるものです。シベリア高気圧は大陸の空気なので、冷たくて乾燥しています。しかし、日本海を通るときに、日本海から水蒸気の提供を受けて湿ります。すると、筋状の雲ができます。これが日本列島の中心に位置する山脈を超えるときに雪を降らせるのです。

乾燥した空気が水蒸気の提供を受けて湿る現象は冬の露天風呂でも観察できます。水面をなでるように風が吹くと、その風の通り道に湯気ができるのが見えることでしょう。冬の日本海と季節風の気温差も、実はお風呂と同じくらいなのです。今年は日本海の海面水温が平年より高かったので、より気温と水温の差が大きくなり、これも雪雲ができやすくなった原因だと考えられています。

大雪に影響及ぼした「JPCZ」とは何か

さて、日本海側の筋状の雲を衛星画像でよく見ると、時折朝鮮半島付近に特に太い雲の列が確認できることがあります。下の衛星画像の赤丸で囲んだ部分がそれです。これは「JPCZ」と呼ばれるもので、今年の大雪にも影響を及ぼしたと考えられています。JPCZとは、「日本海寒帯気団収束帯(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)」の頭文字をとったものです。

(出所:気象庁ホームページのデータをトリミングし、一部加筆)2020年12月30日17時の衛星画像(赤外画像)。赤丸で囲んだ部分がJPCZにあたる

JPCZは、シベリアからの季節風が、中国と北朝鮮の国境付近にある長白山脈にぶつかって一度分かれ、風下でふたたび合流することで発生します。風がぶつかると上昇気流が発生して雪雲が発達しやすくなります。ですから、JPCZができると記録的な大雪に見舞われやすいのです。

では、今シーズンの冬型の気圧配置を強めたものは何なのでしょうか。確かに2020年12月29日の9時の天気図には地上付近にあるシベリア高気圧の気圧が1084hPaとかつてない高さになり、特に気象関係者の間で話題になりました

(出所:気象庁ホームページ)020年12月29日9時の天気図。シベリア高気圧の中心で1084hPaを記録。

気象庁の分析によると、日本を襲った寒波の最も大きな原因は、偏西風の蛇行とのことでした。偏西風とは、地球の中緯度帯の上空を蛇行しながら流れる西風のことをいい、特に強い偏西風の流れのことをジェット気流といいます。

(出所:気象庁ホームページ)2020年~2021年にかけて日本に強い寒気をもたらした地球上の大気の流れに関する模式図

そして、ジェット気流にはより緯度の高い場所で流れる寒帯前線ジェット気流と、亜熱帯地域で流れる亜熱帯ジェット気流の2種類があります。ジェット気流は蛇行する位置や蛇行の振れ幅によって、その土地の天候への影響が変わってきます。ざっくりというと北極側(北側)に蛇行すれば赤道付近の暖かい空気を、赤道側(南側)に蛇行すれば北極の冷たい空気を日本に届けます。

今シーズンはこのふたつのジェット気流がともに日本付近で南に蛇行したことが、寒い冬をもたらしたと考えられています。特に寒帯前線ジェット気流が蛇行したことで、北極域で渦巻く非常に冷たい空気(極渦)が日本付近まで南下したようです。だから強い寒気が日本にやってきたのです。

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