今シーズンの冬がとてつもなく「寒い」根本理由 寒波や大雪、2月になれば少しはマシになる?

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寒帯前線ジェット気流が南に蛇行したのは、西シベリアにあるブロッキング高気圧が原因でした。ブロッキング高気圧とは、偏西風の蛇行の振れ幅が異常に大きくなると、蛇行に伴ってできた時計回りの風が渦を巻き、偏西風の本流から切り離されることでできます

ブロッキング高気圧は長らくその位置にとどまる性質があるので、偏西風が長期間にわたって同じところで大きく蛇行し、寒波や熱波の原因になります。さらに、ブロッキング高気圧のある場所では地上の低気圧が停滞したり、経路を変えて通過したりするため、長雨や干ばつの原因になったりもします。

この年末年始の寒帯前線ジェット気流は、ヨーロッパで南に蛇行し、西シベリアで北に蛇行し、また日本付近で南に蛇行していました。このような蛇行のパターンは「ユーラシアパターン」と呼ばれ、日本やヨーロッパが寒波に襲われるときに現れやすいです。

今後も寒い日が続くのか

では、南にある亜熱帯ジェット気流はなぜ南方向に蛇行したのでしょうか。こちらはラニーニャ現象が関係していると考えられています。ラニーニャ現象とは、エルニーニョ現象とは逆の現象で、ちょうど太平洋のペルー沖付近の海面水温が平年よりも低くなるというものです。

するとそれに伴って、ペルー沖よりも西の海域であるインドネシア付近の海面水温が平年より高くなり、その付近で上昇気流が発生しやすくなって、低気圧が発生しやすくなります。これが亜熱帯ジェット気流の蛇行にも影響を及ぼしたのではないかと考えられているんですね。

遠いペルー沖や西シベリアで起こっていることが日本付近に寒い冬をもたらすというのは意外に思えるかもしれませんが、海洋と大気は密接に関係していますし、地球の大気はひとつでつながっているので、どこかが普段と違うと、遠くまで影響していくものなのです。

さて、さんざん大雪をもたらした今シーズンの寒気ですが、今後もこのような寒い日々が続くのでしょうか。気象庁が1月25日に発表した3か月予報を見ると、全国的に平均気温は平年よりも高めの傾向となっています。また、降水量もほぼ全国で平年並と出ています。ひとまず、寒い冬や大雪はひと段落となりそうです。

(出所:気象庁ホームページ)

しかし、これから暖かくなるのであれば、雪国の人たちは雪崩の心配があります。今年はたくさん雪が降ったので。なおのこと注意が必要となるでしょう。また、冬型の気圧配置がゆるんでも、時折日本付近を通過する低気圧によって太平洋側に雪が降ったり、低気圧が急激に発達して強風や吹雪などが発生したりする可能性もあります。

春の兆しが感じられるとはいえ、まだまだ油断大敵です。

今井 明子 気象予報士・サイエンスライター

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いまい あきこ / Akiko Imai

2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けにわかりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。著書に『気象の図鑑』(共著、技術評論社)、『異常気象と温暖化がわかる』(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。

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