電通やタニタ導入「社員の個人事業主化」の死角 働き方を自分で決められる一方、デメリットも

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例えば、社員時代には毎月何十時間も残業をしていれば、その分、給与に残業代が加算されていましたが、業務委託契約になると残業代は加算されなくなります。仮に社員から業務委託へ変更する際に、その辺も考慮した業務委託報酬で契約を締結したのであればまだよいのですが、単純に「基本給ベースで契約した」なんて場合は、大幅に手取りが減ってしまうなんてことも。

また、社員だから支払われていた交通費や家族手当、住宅手当なども報酬から外れることが考えられます。その他にも、退職金や福利厚生なども同様ですので、制度に応募する際には報酬はもちろんのこと、その他の待遇面についてもちゃんと確認をしましょう。

労災、契約終了で押さえておくべきこと

② 労災はどうなる?

労働者ではなくなるので、労働者災害補償保険(労災保険)も対象外となります。つまり、仕事中や通勤途上に負傷をしても労災の対象とはならないということです。

「国民健康保険があるからいいじゃん」と思う方もいるかもしれません。確かに、労災以外のなんらかの医療保険でカバーできるでしょう。ただし、給付内容は雲泥の差があることを理解しておきましょう。

例えば、業務中のケガが原因で休業をしたとき、労災であれば休業せざるをえない期間については長期にわたり休業補償があります。しかし、国民健康保険ではそもそも休業補償がないケースがほとんどなのです。そのほかにも、病院に支払う治療費や障害や遺族年金等を見ても他の保険に比べ労災保険は非常に手厚い保険と言えるのです。

③ 契約終了したらどうなる?

社内フリーランスになったはいいが、急激に会社の業績が悪化し、突然の契約解除なんてことも考えられます。労働者であれば、そうそう簡単に解雇されることはありませんが、業務委託契約となれば話は違います。解雇ではなく契約の終了なので、契約書に基づいて粛々と行われるでしょう。①で解説しましたが、フリーランスは労働基準法の保護は受けないので、解雇予告手当なども発生しません。

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