リモートで多発する社員間の「下品なやり合い」 みんながどんどん不機嫌になっていく

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とくに文書でのやり取りがそうだが、職場でのコミュニケーションには法的な責任が伴うこともある。実世界で接点のない人の意見をネット上で攻撃するのと、仕事に関係した人の意見にオンラインで攻撃的なコメントを投げつけるのとでは、法的に大きな違いがある。攻撃的なコメントを相手が「ハラスメント」と受け取った場合には、訴えられる可能性があるからだ。

職場でのやりとりがオンラインのチャットで行われるようになったという事実は、法務部にとっては悪夢に等しい。

からかっただけのつもりでも

「他人をひどく不快にするようなことを書いて(訴訟で不利になる)証拠を残すようなことをしていないか、しっかりと気をつけることだ」と、人材管理ソフトウェアのスタートアップ企業「Humu(フーム)」で「ピープルサイエンティスト」(人事関連のデータサイエンティスト)の肩書きを持つレズリー・カプートは忠告する。

弁護士には一段と多くの依頼が舞い込み始めている。仲間内でからかっただけのつもりでも、場合によっては提訴の根拠となりうる。

「誰かが職場で敵対的な行為にさらされていたとしよう。(オンライン上でやりとりしている)今では、その証拠は完全に記録される」と、法律事務所オルレッド・マロコ&ゴールドバーグのパートナーで、ハラスメント事案を専門とするクリスティーナ・チャンは指摘する。

雇用差別問題を得意とするフィリップス&アソシエイツという法律事務所は最近、ブログに次のような記事をアップし、自らの専門サービスを売り込んだ。「オンライン会議で差別やハラスメントを受けたのなら、直ちにご連絡ください。職場差別問題で経験豊富な弁護士がお手伝いします。どのような法的手段が可能か、今すぐに話し合いましょう」 =敬称略=

(執筆:Nellie Bowles記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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