リモートで多発する社員間の「下品なやり合い」 みんながどんどん不機嫌になっていく
掲示板やチャットルーム、フェイスブックが仕事のツールになると、下品なユーモアが以前よりも頻繁に見られるようになった。政治をめぐって激しく言い争っても問題ないとする雰囲気が広がり、ハンドルネームの使用も増えた。
物理的なスペースで区切られていた上下関係は消滅し、経営幹部と向き合うのに幹部の個室まで歩いて行ってドアをノックする必要はもはやない。同僚と対立したとしても、1日中その同僚の隣に座っている必要はないのだ。
「社内用のさまざまなメッセージツールでいじめが起きている。私たちの事務所に寄せられる訴訟依頼も増えている」と、オハイオ州コロンバスで雇用・人権問題を専門に扱っている弁護士のジョン・マーシャルは話す。メッセージツールにおける同僚からの嫌がらせは今に始まった問題ではないが、最近ではその件数が増えているという。
ハラスメントで訴えられる
新しいビジネス用のメッセージツールは、掲示板やソーシャルメディアと見た目も近く、似たような使い勝手となるように設計されている。そのため従業員は掲示板やソーシャルメディアと同じような感覚で利用している、と専門家は指摘する。
例えば、スラックは次々と投稿を促すような仕様になっていて、広大なチャットルーム内で従業員が絵文字を挿入しながら議論を盛り上げていく。これは裏を返せば、いったん「炎上」すると、火の手が大きく燃え広がり、簡単には鎮火できなくなることを意味する。
前出のラゼッティによれば、「ティーンエイジャーのようなけんかを繰り広げる従業員もいる。これは、極めて深刻な問題となりうる」。