今年になってからは、すでに、企業のベースアップ復活や人手不足などがメディアでも伝えられている。行き過ぎた円高も解消し、日本経済を映す鏡であるマーケットの景色も一変した。株価をみれば、今年は前半こそ海外市場の混乱によって下落したものの、2013年の日経平均株価は、堂々、戦後4番目の上昇率だった。アベノミクス発動前までは主要先進国のなかで唯一、下落基調をたどっていた日本の株価も、米欧の株価と肩を並べる勢いで復活した。
一見もっともらしく聞こえる「バブル」批判
アベノミクスに対して、批判精神旺盛な識者の声を、いまだに耳にする。だが、過去1年半で起きた現実を素直にみれば、空虚に聞こえるだけである。そうした方は、「第3の矢である成長戦略は力不足」などと、アベノミクスを批判的に論じているのだろうが、それは一面的な見方に過ぎない。
金融資産への投資という観点で、「アベノミクスでは、バブルが来るだけ」などと言っている批判論者は少なくない。では、何がどうなれば、バブルなのか。「バブルだ、バブルだ」という指摘をする人々が、バブルという現象を十分理解していないのではないか。バブルという言葉を使って批判すると、メディアの受けがいいというだけである。真剣に、金融市場への投資や、あるいは住宅購入を考えている方は、そうした識者のいうことは、時には聞き流せばよい、と筆者は考える。
実際には、将来を予想することは本当に難しい。ただ、アベノミクスによって変貌しつつある日本経済とマーケットの将来について、しっかりとした理屈を基づいて考えることが必要だと思う。その一助となるために、筆者の考えをまとめた書籍をこのたび上梓させていただいた。タイトルは「インフレ貧乏にならないための資産防衛術」だ。
同書では、一般の投資家に向けて、アベノミクスが成功してインフレ時代が到来したとき、どのようにして貴重な金融資産を防衛・運用すべきかという視点で、具体的な投資手法を含めて、筆者なりの考え方を示した。
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