私が9割の中間管理職はいらないと断言する訳 不要な仕事をわざわざ作ってしまっていないか

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本来、彼ら(注:中間管理職としてのコンサルタント)には罪はないのです。

彼らは仕事だから、雇われたからやっていただけです。

それをどう使うかは経営者の問題でもあります。

他方、管理職はただ部下を管理する存在ではありません。その上司も部下もうまく管理職というものを使うことが必要なのだと思います。

9割の中間管理職はいらない。では必要な1割とは?

私は、少々誇張もあるかもしれませんが、9割の中間管理職は必要ないと思っています。

それではいらない中間管理職、使えない中間管理職とはどんな存在でしょうか。拙著『9割の中間管理職はもういらない』でも詳しく述べていますが、私の経験から考えると、一言で言えば、ただ「承認して、報告して、挨拶するだけ」の中間管理職です。

部下が「連休をください」と言えば、すぐに承認する。「今日は早く帰らせてください」と言えば「いいですよ」とただ承認するだけ。

また、部下に資料を作らせ、報告させて、それをただチェックし、上司に報告するだけ。それが必要な資料かも判断せず、ただ時間を穴埋めするために仕事を作って、それをチェックし、気に入らなければ部下に作り直させる。

しかもその判断基準は自分の好みに合うか合わないか。

こうした中間管理職は、仕事をしているというけれども、その内実は、なにも生み出していない。言ってしまえば、なにも生産していないことになるのです。

新型コロナウイルスの流行によって、リモートワークや在宅勤務が当たり前になりつつある昨今ですが、これはコロナ以前から進められてきたITの導入やデジタル化の波によって着々と準備されてきたことです。

トップの意思を部下に伝え、現場で起こったことをトップに伝えるというのは、旧来の中間管理職の役目のようですが、これはデジタル化によってほとんど不要になったとも言えるのです。

今やそんな「ホウレンソウ」は必要なくなりました。それはデジタル化によって、一斉にメールを送ったりすれば事足りるものになってしまったからです。

こうして中間管理職は、グレーバーが言うような「ブルシット・ジョブ」になってきてしまっているというわけです。

私自身も、ながらく、中間管理職として働いてきましたが、普通の中間管理職がやらないような働き方をしてきたと自負しています。それが、1割の生き残っていく中間管理職の働き方のヒントになるのではないかと思います。

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