バイデン就任演説から見えた5大注目ポイント 結束を訴え、実行することが何より求められる

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④ 「意見の相違は必ずある」としつつも、反対側意見に耳を傾ける姿勢は示さなかった

分断が存在していること自体はこれまでもあったことという言葉とともに、「意見の相違は必ずある」「意見が違うのが民主主義」であると述べたこともトランプ前大統領とは対照的であったと思います。もっとも、より重要なことは、「意見が違う場合にどのように対処するのか」であり、「違う意見にも耳を傾け、話し合っていく」ことなのではないかと考えらえます。

したがって、バイデン大統領は、「意見が違うのが民主主義」と述べるだけではなく、実際に親トランプ派の主張の中で少なくとも自分自身も共感できる部分には共感を示し、その主張に対してどのように対応していくのかを述べることが重要だったのではないかと思います。

大統領選挙戦中も、トランプ支持層とバイデン支持層では、主要論点が大きく異なることはたびたび指摘されてきたことです。安全保障などトランプ支持層の最大関心事項には触れず、自らが掲げてきた4大危機・4大政策だけを述べたのは、演説の最大目標だった一致団結という点からも最も不十分なところであったのではないかと思います。

「結束×必ずできるという可能性ある世界観」

⑤ 「結束×必ずできるという可能性ある世界観」を早期に実行していくことが重要

5つの最初のポイントとして述べたとおり、「結束×必ずできるという可能性ある世界観」が演説の中核であった中で、バイデン政権にはそれを早期に実現することが求められていると思います。

アメリカが南北戦争以来の分断の危機を迎え、トランプ前大統領は退任演説で「何らかの形で必ず帰ってくる」と述べました。つまりはこれからの4年間でもアメリカに大きな影響力を行使し続け、4年後の大統領選挙にも出馬してくる可能性が高い中で、実行の遅れは、分断をさらに拡大させることに直結するのではないかと考えらえます。

今回の就任演説が、わかりやすくシンプルで明快な言葉で展開されたことは、確実にトランプ支持層を意識してのものであったと思います。もっとも、上記で述べたとおり、トランプ支持層に踏み込んで共感を示したり、その主要論点に触れたりすることもなかったなかで、結束を実際にはどのように早期に実現していけるのかの具体策には乏しい就任演説だったのではないかと思います。

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