バイデン就任演説から見えた5大注目ポイント 結束を訴え、実行することが何より求められる
① 演説の対象(国内)
筆者は、前回の記事で、バイデン大統領就任演説は国民全員に向けられたものになると予測しました。バイデン大統領は、勝利演説で「私は分断ではなく統合を目指す大統領になることを約束する」と宣言していましたが、実際の就任演説でも「すべてのアメリカ国民の大統領になる」「私を支持しない国民のためにも、私を支持する国民のためにと同様に、懸命に闘っていく」と述べています。また、演説の中で団結や結束を意味する「Unity」という単語が多く使われ、分断の様相が依然際立つ状況下で、「分断から団結へ」が強く訴えかけられました。
② 演説の対象(国外)
筆者は、バイデン新大統領就任演説の対象は、トランプ大統領就任演説はもとより、従来の大統領就任演説にも増して、他国やその市民も意識されたものになると予測しました。実際の就任演説でも、「世界が私たちを注視している」「国境を超えた国外の人々への私のメッセージ」と述べたあと、「私たちは同盟関係を修復し、もう一度世界と一緒に関与をしていく。過去の挑戦ではなく、現在、そして未来の挑戦へ向き合っていく」と明快に世界へとメッセージを発しました。
そして実際にも、大統領就任当日において、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰やWHO脱退の撤回等、世界との協調を裏付けるような大統領令に署名したとされています。
バイデンが示した「敵」は?
③ 対立構造
演説の対象や聴衆を巻き込んだり味方に引き入れたりする最もシンプルなコミュニケーション手法は、対立構造を創り出すことです。
トランプ大統領は、選挙戦中「親トランプvs.反トランプ」「“赤い州”vs.“青い州”」といった扇動的な対立構造を創り、就任演説では対立軸の相手を「エスタブリッシュメント」「ワシントン」と表現しました。一方で筆者は、バイデン大統領は、分断から統合への機運を高めていくためにも、党派や階層、利益集団といった人で対立構造を創り出すことを回避し、新型コロナウイルスや人種差別といった概念やモノが対立軸の相手として明示されると予測しました。
実際の演説でも、バイデン大統領は、明確に「敵」という表現を使った部分において、その「敵」としては、怒り、恨み、憎しみ、過激主義、無法、暴力、病気、失業、絶望を挙げ、それらに全国民が結束して戦っていくという構図を示しました。
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