バイデン就任演説から見えた5大注目ポイント 結束を訴え、実行することが何より求められる

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⑦セルフブランディング(ポジショニング)

トランプ大統領は、大統領就任演説で自らを「強くて×本音」の大統領というセルフブランディングにポジショニングしました。ヒラリー・クリントン大統領候補との選挙戦に挑むに際し「強さ」が求められ、オバマ政権下の「ポリティカル・コレクトネス」で白人中間層が過ごしにくい社会となった中では「本音で生きられること」が支持者からは求められました。

それに対して、筆者は、バイデン新大統領が就任演説で自らを「正義をもって×よりよい復興を実現(Build Back Better)」にポジショニングすることを予測しました。「正義(Justice)」は、パンデミック(新型コロナウイルス)、経済危機、人種差別、気候変動という「4つの歴史的危機」およびそれらを解決していくための政策を語る際にもバイデン大統領がこれまで多用してきた言葉でした。

そして、「よりよい復興を実現」は、選挙戦中は「トランプ大統領を信任しない」「不信任である」という想いが込められていましたが、就任演説では先に挙げた「4つの歴史的危機」に対する重点政策においてよりよい復興を実行していくという強い決意を示してくるのではないかと予測しました。

実際の就任演説においては、正義は、「すべての人のための正義という夢は、もう先送りすることはできません」等の重要な箇所で使われました。「正義という夢」と表現したことについて、私は本音と正義という誰もが双方をもっている価値観がそれぞれの人の中で戦っていることを感じました。「よりよい復興を実現」については、よりよくなるという表現がいろいろと使われていた一方、演説の最後において、「これからのアメリカの物語」について、「恐怖ではなく希望の物語」「分断ではなく約束(の物語)」「暗闇ではなく光明(の物語)」 にしていくという部分に「よりよい復興を実現」していく強い決意を表明しました。

今後を占う就任演説からの注目5大ポイント

それでは次に、前回記事で示した7大ポイントの実際の分析を踏まえて、実際の就任演説結果からバイデン政権の今後を占っていきたいと思います。

① 「結束×必ずできるという可能性ある世界観」が最大ポイント

前回記事のサブタイトルが「危機的なアメリカをどう一致団結させるのか」であったように、そして、「必ずできるという可能性ある世界観」を提示するのが中核になると予測したように、「結束×必ずできるという可能性ある世界観」がバイデン大統領の就任演説での最大ポイントであったと分析されます。あとで述べるように「リンカーンの理想主義」側に傾斜した就任演説のストーリー展開の一方、「結束×必ずできるという可能性ある世界観」をいかに早期に少しずつでもいいので具体的な成果をもって示していけるかがバイデン大統領には問われていると思います。

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