今の株式市場は「少しカオしてる」かもしれない

「天井形成時の乱高下」を表す言葉を作ってみた

ところがその後、日本の半導体関連株は不安定化した。14日に株価が大きく下振れする局面があったが、それは半導体受託生産大手である台湾積体電路製造(TSMC)の決算発表の前に、日本の半導体株に投機的な売りが嵩んだためだとされている。そうした売りをくぐりぬけると、半導体関連の株価は戻すといった、ドタバタだった。

アメリカの長期国債市場でも「ミニカオス」

このようにカオしたのは、株式市場だけではない。アメリカの長期金利の振れも、注目を集めたと言える。同国の10年国債利回りは、昨年12月から今年初にかけて、0.9%台前半を中心とした落ち着いた動きを示していたが、今月5日からじわじわと上げ始め、1%を超えてきた。この金利上昇を不気味に感じる投資家が増えていたようだ。

0.9%台から1%超になった、ということ自体は、金利の変化幅として特に騒ぐほどのものではない。

しかし金利上昇の材料として、ジョー・バイデン次期大統領が景気支持のため大胆な財政政策を打ち出し、その財政支出増加分が増税で補えないため、国債を増発するのではないか、といった思惑が挙げられていた。

景気が大きく回復する結果として金利が上昇するといった「良い金利上昇」は株価を大きくは傷めないが、景気が良くもないのに国債の需給面から金利ばかりが上がってしまうという「悪い金利上昇」は、株価の悪材料だ。こうした「長期金利の悪い上昇→株価下落」というコースに陥ってしまうのではないか、との不安を投資家が抱いたわけだ。

実際のところ、13日の10年国債入札前には、10年国債利回りは一時1.18%を若干上回るに至った。しかし入札を過ぎると、イベントを通過したとの安心感が表れたためか、利回りは一気に1.09%近辺まで低下した。

驚いたのはその後だ。14日のジェローム・パウエル議長の講演を受けて、長期金利は再度1.13%まで上昇した。「驚いた」と書いたのは、議長の講演を隅から隅まで読んでも、「物価上昇率が高まるまで、じっくりと低金利を続ける」という主旨しか見えないからだ。ところが債券の市場解説をみると、「議長が『歓迎されないインフレについて、対応手段があり、それらを使用する』と述べたため、状況次第では利上げが早まるとの思惑が生じた」から金利が上がった、とされている。議長が一般論として、好ましくないインフレが生じれば利上げなどで対応する、と語るのは当然のことであり、それで債券を売る(金利を押し上げる)というのは、解せない話だ。

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