今の株式市場は「少しカオしてる」かもしれない 「天井形成時の乱高下」を表す言葉を作ってみた
今回も結論から言えば、株価シナリオに対する筆者の大きな枠組みは変わっていない。
バブルだと唱える人が多いうちはバブルではない
足元の日米等主要国の株価は、ひと休みしている経済実態に比べると、買われすぎであると懸念している。だが「バブル」だとはまったく考えていない。なぜかと言えば、「バブル」だと唱えている人が多いからだ。
本当にバブルに陥るのは、日本で1989年末の高値を形成したときのように、ほとんどの人が「これはバブルだ」と言わないどころか、バブルという言葉が頭をよぎることすらない事態だろう。それどころか、そのときの途方もない高値が実体経済や企業収益と比べていかに妥当か、という「珍説」が、自信をもって叫ばれたときこそが、バブルだ。
つまり、現状については、たとえば日米のPER(株価収益率)が50倍や100倍になったわけでもなく、株価が上がったことや株価水準そのものは特に問題視するには当たらないと考える。
それでも、昨年11月以降の株価の上昇スピードが、足元の景気や企業収益のもたつきに比べると速すぎる。そのため、短期的(むこう1~2カ月程度)には、主な株価指数は1割程度下落すると考える。日経平均株価なら2万5000円割れ、ニューヨークダウなら2万7000ドル程度のイメージだ。1割前後の下落であれば、株式市況では日常茶飯事のことだ。
その後、今年末にかけては、コロナ禍を徐々に抜け出し緩やかながら回復基調を続ける景気や企業収益が、株価を支えそうだ。一方でそうした実体経済の回復が緩やかであるため、景気支持的な財政政策や金融政策が維持される状況は変わらないだろう。つまり、いわゆるゴルディロックス相場(ほどほどの景気回復を享受する株価上昇)が続くだろう。こうしたことを総合して、年末の日経平均株価は3万円程度、NYダウは3万5000ドル近辺を予想している。
景気や企業収益の回復が盤石となれば、上述の金融財政政策は出口を探ることになりそうだが、それは今年ではなく、主として2022年の市場波乱のテーマとなるだろう。
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