丑年なので株は「買う」でいいかもしれない 短期的には「スピード調整」に警戒が必要だ
昨年は当コラムをご愛読賜り、誠にありがとうございました。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。
長期は楽観でも、短期は株価のスピード調整も
まずは、日米等主要国の株価の短期的な見通しから述べたいと思う。ひとことで言えば、短期的に反落する恐れが高いと予想する。これは、昨年11月以降の株価上昇が急ピッチであったため「スピード調整が必要だ」と考えていることが主要な理由である。特に何か悪いことがこれから起こると見込んでいるわけではない。
それでも、直近公表された主要国の経済指標を見ると、悪化を示すものが多い。例えば日本の鉱工業生産(11月分は前月比横ばい、12月分の予測指数は前月比マイナス)、11月の景気ウォッチャー調査(現状指数、先行き指数とも、前月から悪化)、アメリカの11月分のISM指数(製造業、非製造業とも、10月から低下)など、枚挙にいとまがない。
決して「世界経済が悪化基調に向かい始めた」とは考えておらず、コロナ禍の影響を二進一退ながら脱していく、という長期展望は変わっていない。経済活動の「一服」が生じていると解釈しているのだが、さすがに足元の株価の堅調さと実体経済の一服には、乖離が大きいと感じざるをえない。
そうしたなか、今週はアメリカで注目度の高い経済指標の発表が多い。例えば5日のISM製造業指数(11月の57.5から12月は56.5に悪化するという市場予想)、7日の同非製造業指数(同じく55.9から54.5に悪化予想)、8日の12月の雇用統計(失業率は11月の6.7%から6.8%に悪化、非農業部門雇用者数は前月比でわずか5.0万人の増加にとどまる、との見通し)で、やはり冴えない結果となりそうだ。
国際情勢もきな臭い。昨年末には、アメリカが、戦略爆撃機のB52や原子力潜水艦を、中東地域に集めたと報じられている。この動きは、同12月20日にイラクの首都バグダッドにあるアメリカ大使館に向けてロケット弾攻撃がなされ、その背後に隣国イランの関与が取り沙汰されていることから「アメリカがイランに圧力をかけるためだ」と見なされている。
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