丑年なので株は「買う」でいいかもしれない 短期的には「スピード調整」に警戒が必要だ

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2021年に入って、1月1日には、イランが濃縮度20%のウランを製造する意向を国際原子力機関(IAEA)に通達したことが、判明している。20%の濃縮度を達成すれば、核兵器への転用が行いやすいと言われる。また、イラン革命防衛隊のガセム・ソレイマニ司令官が、アメリカに殺害されてから1月3日でちょうど1年となった。イランそのものでなくても、イランと関係が深い組織が、何らかの対米報復的な行動をとる展開も否定できない。

一部では、すでにドナルド・トランプ大統領が、爆撃機や潜水艦に引き返すよう命じたとの観測もある。また、イランの行動も、本気で核兵器保有に向かって進んでいるというよりは、対米交渉のための脅しにすぎない可能性もある。このため、中東で実際に軍事的な衝突が起こるとは決めつけられないものの、今後の情勢には留意すべきだろう。

「指数の1割程度の下落」は頻繁にある

だが、もし筆者が懸念しているような株価の反落があったとしても、せいぜい主要な株価指数が1割前後下落する程度にとどまりそうだ。つまり、日経平均株価であれば2万5000円を割り込む程度、ニューヨークダウなら2万7000ドル台、といったところではないだろうか。

こうした「1割程度の調整」は、株価指数であれば頻繁に起こることで、特に暴落でも何でもない。また、そうした短期的な警戒論については、筆者は他のマスコミでも最近よく述べている。

そうしたところ「『1割下がるのは暴落ではない』と馬渕さんは語っているが、とんでもない。大変な暴落だ。そんなに株価が下がったら自分は大損失を被る。そんな見通しには大反対だ」とのお声もいただいた。

人の見通しに反対意見を述べるのは自由なので何の差しさわりもない。だが「1割程度株価指数が下落する」という日常茶飯事のことで「大損失を被る」のなら、それは下落する株価が悪いわけではない。ちょっとした株価の下振れで大きな損失が出てしまうようなポジションをとっていることが悪いのだろう。

その結果として、「株価はわずかしか下落せず、上がり続ける」との願望を抱いてしまい、自分に都合がよい株価上昇見通し以外の情報を排除しよう、という心理に陥っているのかもしれない。

最近は投資関連の情報に限らず「期待と予想の区別がついていない人」が多すぎるように思う。ある事態を期待しすぎると、そうした事態に向かって事が進むことを補強する材料ばかりに目が向かい、自分に都合が悪い情報を頭から排除してしまいがちになる。これには注意が必要だ。

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