「日本株は1ドル=90円台突入で急落」は正しいか 「ドル安円高論」と日米企業の業績を検証する

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
パウエルFRB議長(左)は市場の緩和期待をつなぎとめた。ということは、今後もドル安円高が続くのだろうか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

先週は、日米2つの中央銀行の金融政策決定会合が行われた。

12月15日から16日は、アメリカでFOMC(連邦公開市場委員会)が開催された。

FOMC直後は緩和期待が一瞬「剥落」したかに見えた

この会合では「何らかの具体的な追加緩和が打ち出される」という期待が事前に強かった。というのは、最近で連銀が最も大きく金融政策の方針の変更を加えたのは、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長講演と同時に公表されたFOMCの声明だった(8月27日、今年の講演はオンライン開催)。

「従来2%のインフレ率と最大雇用を目指す」というのは連銀の方針だったが、それは「2%と最大雇用が達成できたら、金融緩和を縮小する」という意味合いだと解釈されていた。

それに対して8月の声明では、「インフレ率が2%を上回ってもしばらく緩和姿勢を続ける」「最大雇用を超える状況になってもしばらく緩和姿勢を続ける」との方針が打ち出された。

しかし市場では、「超えても緩和を続ける、とのことだが、実際には現時点で超えることができていないではないか。できていないことを言われても意味がない。これまでの金融政策で達成できていないのだから、連銀は具体的な追加緩和策を打ち出すだろう」との見解が有力となった。このため先週のFOMCでは、債券買い入れ額の増大などの具体策が期待されていたわけだ。

ところが先週16日は、「アメリカ国債などの購入を、完全雇用と物価安定に近づくまで継続する」という、口先のお題目が唱えられただけだった。

この日はアメリカの株式市場寄り付き前に公表された小売売上高が、10月分が前月比0.3%増から0.1%減に下方修正されたうえ、11月分は1.1%もの減少を記録した。

次ページなぜパウエル議長の声明は効果的だったのか
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事