内外共に株価は高値圏にある。NYダウは3万ドルに乗っているし、日経平均株価も2万6000円台で推移している。筆者の前回の本連載記事「バブルはコロナの感染拡大でむしろ大きくなる」で述べたように、コロナに対する経済対策が株価上昇の背景にある。
コロナが続くと、株価が上がるワケ
経済指標をざっと眺めると、「景気」は決してよくないが、株価上昇を端的に裏付けているのは、通貨供給量と銀行貸し出しだ。広義の通貨供給量である11月のM3は対前年比+7.6%、銀行貸し出しは+6%だ。
コロナ前までの+2%レベルから急伸している。これまで、日銀(日本銀行)の金融緩和努力にもかかわらず、なかなか市中に巡るマネーは増えなかったが、財政支出が増えたり、政府が保証することで銀行の貸し出しが伸びたりして、金融緩和が後押しされた。
一方、「+2%」を目標とする物価は、消費者物価指数(10月)が対前年比-0.7%、企業物価指数が同-2.1%とまだ低迷中で、マネーがまず金融資産に向かっている段階にあることがうかがえる。
先般、政府が決めた追加経済対策では、金融機関の融資や地方の支出などを含め、事業規模が73.6兆円に達した。政府は今年4月と5月に、それぞれ110兆円を超す経済対策をまとめたが、大規模な財政出動が継続する。
大まかに言うと、財政的刺激があるたびに金融緩和が強化される。問題はコロナだが、感染が拡大し、重症者の数も増えて、北海道や大阪などで医療が逼迫するなど、心配な状況が続いている。しかし、「嫌な話」で気が引けるが、これが株価にとっては好材料なのだ。
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、東京都を対象から除外することなど「Go To トラベル」の見直しを訴えている。だが政府にその気はないようで、追加経済対策にはキャンペーンの2021年6月までの延長が盛り込まれている。
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