来年のことを言えば鬼が笑う。特に来年はそんな感じである。泣くも笑うもコロナ次第。感染が広がって深刻化し、世界経済は奈落の底に沈むのか。あるいはワクチンが効いて、急速に経済活動が正常化するのか。どっちに転んでも不思議はなさそうだ。
バイデン次期新政権が真っ先に手がけることとは?
それでも、現時点で確定している政治外交日程は少なくない。2021年の国際情勢がどこまで予測できるかを試してみよう。
まずはアメリカにおける新政権発足についてである。年明け早々、1月5日にはジョージア州で上院2議席の決選投票が行われる。これが「共&共」(共和党2議席)となるか、「共&民」(民主党と1議席ずつ)となるか、あるいは「民&民」(民主党の2議席)となるかで天と地ほどの違いとなってくる。
「民&民」となれば、上院の議席数が50対50と伯仲する。この場合、議長を兼ねる副大統領の1票がモノを言うので、民主党の次期バイデン政権は大いに有利となる。「ねじれ」がなくなるので、法案や予算が通りやすくなる。
ただし、ジョージア州は2議席とも現職が共和党であることを考えると、「民&民」は確率的にはかなり低いだろう。つまり、法案を通すためには共和党議員を何人か説得しなければならない。委員長ポストも全部共和党に取られるし、上院で過半数の承認を必要とする閣僚人事も、のっけからハラハラさせられることになるだろう。
それでも1月20日正午には、ジョー・バイデン氏が第46代大統領に就任する。普通なら新旧の大統領が握手を交わし、前大統領はヘリコプターでホワイトハウスを去るのが「吉例」となっている。しかし選挙結果を認めないドナルド・トランプ氏は、この儀式を欠席すると伝えられている。アメリカ大統領の歴史における「前代未聞」がまたひとつ増えることになる。
それではバイデン新政権は何から手掛けるのか。上院を共和党に握られるとなると、内政面では打つ手が限られる。そこで真っ先に手掛けるのは「パリ協定への復帰宣言」であろう。これは議会に諮る必要がなく、大統領の宣言だけで30日後には復帰が実現する。政権交代の目に見える効果を示すには、これが最善手となるだろう。
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