2021年東京五輪開会式の日が中国に超重要な訳 来年の国際政治の「外交日程」を見てみよう

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そこで日米首脳会談のテーマは何かといえば、気候変動を巡る日米協力、ということになるのではないか。

日本も「2050年までのカーボンニュートラル」を宣言したのはいいものの、「脱炭素社会」にむけての具体策は心もとない。かなりの部分を「今後のイノベーション(技術革新)」に期待することになっている。同様にアメリカ側も、内政面での着手は手間取りそうだ。

他方、欧州勢はアメリカのパリ協定復帰に手ぐすねを引いていよう。5月のG7(英国)、10月末のG20(イタリア)、11月のCOP21(英グラスゴー)と続く国際会議では、さまざまな形で同調圧力を加えられそうだ。途上国向けの石炭火力発電所輸出をいかに規制するか、といったきわどい問題もある。日米の協力が求められるところであろう。

7月23日の日中の「偶然の一致」とは?

2021年の政治外交日程の中で、もっとも注目を集めそうなのが7月23日、東京五輪の開会式である。

そもそも実現可能なのか、と言われるとそこはもちろんコロナ次第、ワクチン次第なのだが、これが開かれないとなるとそれこそ2024年のパリ大会も怪しくなるし、2028年はどこの都市が手を挙げてくれるのか、ということになってしまう。

IOC(国際オリンピック委員会)としては「お願いだから東京、やってくれ!」というところであろう。トーマス・バッハ会長は来年3月に再来日と聞くので、そこが最終決定のタイミングとなりそうだ。

ところでこの7月23日、実は中国共産党の創設100周年という記念日でもある。1921年、全国から上海に集結した陳独秀など13人の共産党員たちが、コミンテルンの指導の下に7月23日から31日にかけて、第1回の党大会を開催した。その中には、若き日の毛沢東も長沙代表として含まれていた。

来年はそれから100周年となる。1949年の建国100年と並び、現在の習近平体制にとっては超重要イベントである。まして習近平氏は2022年秋の党大会で、総書記「3選」を目指している。「党大会100周年」の関連行事は重い意味を持っていよう。

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