泥酔防止に「トマトジュース」が効く医学的根拠 ウコンやシジミは予防できるほどの効果なし?

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そうわかったら、次に気になるのは「なぜトマトが効くのか」ですよね。最初に紹介したほうの研究では、その理由についても調べています。

実験動物(ラット)に、トマトの水溶性成分を摂取させたあとにアルコールを投与して、肝臓内のアルコール代謝にかかわる酵素の活性を調べたところ、アルコールの分解にかかわる酵素(アルコール脱水素酵素)、アセトアルデヒドの分解にかかわる酵素(アルデヒド脱水素酵素)と、これら2つの酵素の働きにかかわる酵素が活性化していることがわかりました。

人体においても、トマトジュースがアセトアルデヒドの分解を早める作用を発揮すると仮定すれば、トマトジュースには二日酔いを防ぐ効果が期待できます。

お酒が強い人と弱い人の違いは酵素にある

ところで、お酒に強い体質の人と、弱い、もしくはほとんど飲めない人がいますよね。その違いは、まさにアルコールの代謝にかかわる酵素の働きの違いにあります。とくに重要なのが、有害なアセトアルデヒドの分解を進めるアルデヒド脱水素酵素です。

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この酵素には、アセトアルデヒドの血中濃度が高くなってからゆっくりと働く「1型」と、血中濃度が低いときから働く「2型」があります。

悪酔いの原因となるアセトアルデヒドをスムーズに分解するためにより大事なのが2型のほうなのですが、日本人は、この2型の活性が弱い人が4割ほどいて、さらに2型がほとんど働かない人も数%いると言われています。だから、日本人はお酒に弱い人が多いのです。

こうした体質的にお酒を飲めない(アルデヒド脱水酵素2型が働かない)人は、トマトジュースの助けを借りても飲めない体質は変わりませんが、もともとある程度飲める人であればトマトジュースがアルコールの分解を助けてくれます。

とはいえ、飲みすぎは禁物。「トマトジュースを飲んでいるから大丈夫」と気持ちが大きくなって、いつも以上に飲んでしまっては、血中のアルコール濃度は3割減どころか、3割増しになってしまいます。お酒は「自分に合った量をほどほどに」がやっぱり肝心です。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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