火星に住める?宇宙での木材活用の道を探る訳 2023年に木造の人工衛星の打ち上げ計画も
その課題として資材調達、内外圧力差、宇宙線、熱などへの対策があるが、その研究成果については、超高耐候性木質建材の開発など地球環境下での木造建築・木材利用推進に役立てられるとしている。
住友林業では2018年、創業から350周年を迎える2041年を目標とした、高さ350mでオフィスやホテル、店舗、住宅などが入る木造超高層建築物(70階建て)を実現する構想「W350計画」を発表している。
構想のカギとなることの1つが、木材の強度(当初計画では木材比率9割の木鋼ハイブリッド構造)や耐火・耐久性能などの向上だが、国内最高峰の研究機関の1つである京大と組むことで、より優れた異なる素材や建設手法の開発など、課題克服をさらにスピード感を持って行えるだろう。
木造高層建築物の社会的ニーズも高まる
なお、木造高層オフィスビルについては、三井不動産と竹中工務店が昨年9月、東京・日本橋で国内最大規模となる高さ約70m、地上17階建て(2025年竣工を計画)の建設計画を発表している。
こうした事例から、木材が再生可能な資源であり、大規模な活用がSDGsやESG経営などに代表される、環境問題への関心の高まりに対応するものであることがわかる。今後、木造高層建築物への社会的なニーズが高まるものと見られる。
なお、上記の構想を発表し、外部からの知見を積極的に受け入れるオープンイノベーションのかたちを取ったことが、京大の宇宙研究と、住友林業の木に関する知見やノウハウを結びつけることにつながったとも見られる。
ところで、冒頭のテラフォーマーは2500年代後半から2600年代を舞台としたものであり、そう考えるとまだまだ先のことだ。その頃に、火星のテラフォーミングが実現しているかも正直、まったくの不透明だ。
しかし、何事も挑戦をしなければ始まらないわけで、今回紹介した京大と住友林業の共同プロジェクトはその端緒の1つとも考えられる。
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