「お年玉、預かっておくね」が男の子にNGな理由 名門・開成中学高校の元校長が語る1つの真理

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そう言うと、「無駄遣いをして、すぐになくなってしまいます!」と不安を漏らす方がいます。でも、それならそれでいいのではないでしょうか。

お年玉を使い切ったからといって、彼らが食べるものに困ったり、生活が立ち行かなくなるわけではありません。それより、お金の大切さを学ぶための「授業料」だと思えば、無駄遣いだとは言い切れないのです。

残金がゼロになったときに、むなしさや不安を感じるはずです。その経験があれば、「慎重に使わなければ……」という気持ちが芽生えるでしょう。いつまでも親が管理をしている限り、お金が減ることはありません。けれども、その代わり、生きていくために必要なお金の感覚がまったく育たないということにもなってしまいます。

正しい借金の作法を教える

せっかくお金の話をするのなら、「借金」についてもきちんと学ばせておきたいところです。

未成年であれば、自分の意思だけで借金をすることは基本的にはないと思いますが、やはり正しい知識は身につけておくべきです。

不動産や車を買う場合の「大きな借金」は必要不可欠だとしても、目先の欲求のための「小さな借金」は、高い金利を払うためにするようなもの。こうした事実も機会をつくってきちんと教えたほうが良いと思います。

最近は、カードローンやカードのリボ払いなどで手軽に借金をすることができます。そのしくみを正しく理解しておかなければ、社会人になったときに気軽に手を出して、身の程を超える借金を抱えることになりかねません。

日本ではあからさまにお金の話をするのは下品だという考え方が根強くありました。その風潮は今でも根強く残っています。学校でのお金の教育も、十分進んでいるとは言い難い状況です。

しかし、これだけ情報が氾濫している時代に、子どもたちをお金から遠ざけてしまうのは、逆に不自然でしょう。

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