「えんとつ町のプペル」疑った私が裏切られた訳 あのブームに覚える違和感と映画の完成度

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そんな複雑な感情がうずまいてしまうので、

「プペル、面白そうーーー!」

と、観る前に無邪気に思えなかったのではないかと、自己分析する次第です。

こんなさもしいことを思っているのは私だけか、と思いきや、同様の理由で「今回の映画は見るつもりない」という人が何人もいたんですよね。ですから、意外とそういう人たちも、いるのかもしれないと感じます。

「プペル」を支えているコミュニティの存在

私が、映画「プペル」に対して斜に構えていた理由を深掘りしていくと、もうひとつ「チーム西野」とでもいうべきファンコミュニティに対する、複雑な心理があったような気がします。

今回の映画制作にあたって、資金面でも、宣伝に関しても、文字通り大応援団となったのが、西野さんが運営するオンラインサロン(西野亮廣エンタメ研究所)のメンバーたちでした。

月額980円~から参加できる西野さんのオンラインサロン、その会員数は現在7万人以上。日本のオンラインサロンの中で、ダントツに多い人数です。

【2020年12月31日22時15分追記】初出時、記載数字に誤りがありましたので修正いたしました。

オンラインサロンのメンバーには、映画制作の裏側や、マーケティング戦略が同時進行で発信されていたそうです。

映画公開前から、すでにプペルの大ファンになっている人、関係者と同様の気持ちになっている人たちが、大勢いるわけです。

このファンコミュニティが、映画の宣伝と初動を支えています。

たとえば、映画に先駆けて公開された六本木ヒルズでの円形広告は、西野さんのマネージャーである田村Pこと、田村有樹子さんが、「西野さんにクリスマスプレゼントを」と、借金をして買いきったというのも、一部で話題になりました(その後、クラウドファンディングで資金回収)。

西野さんの映画を上映するために、映画館の上映枠を自腹で買ったというファンの話も聞きます。

このファンコミュニティの存在と、そこから漏れ聞こえてくる“熱い”エピソードが、そこまで熱くなれない人たちの心をざわつかせていたのではないかと思うのです。

西野さんを取り巻くコミュニティは、昨今話題の「ファンベース」的な考え方の究極の形だと思うのですが、そのファンコミュニティの熱量が高ければ高いほど、その輪の外にいる人間は身構えてしまうのかもしれません。

もちろん、ジャニーズや宝塚、坂道シリーズなど、強烈なファンビジネスは存在します。それらも、ファンによる献身的な投資や応援で支えられてきたでしょう。

しかし、そういったファンクラブとの違いは、「ファンの行動」や「絆の強さ」、そして「お金の流れ」が、それ以外の人たちに「見える化されてきたかどうか」の差だと思います。

コミュニティの絆が強ければ強いほど(強そうに見えれば見えるほど)、自分は“呼ばれて”いない感じがする。そんな心理が働くのかもしれません。

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