中学受験「上に上がれない子」こそ頑張っている おおたとしまさ氏が語る「中学受験の本質」

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Q、最近はいろんな入試方式があるようですが、これってどう見たらいい?

トップの難関校ではない、偏差値表の中で言うと真ん中から下くらいにあるような学校において、入試の多様化という動きがあります。

中学入試と言うと、基本的には国語、算数、理科、社会の4教科もしくは国語、算数の2教科のテストの点数で競うというものでした。ところが、いわゆる中堅校と言われるような学校において、教科の枠を超えた、総合型というような入試が増えてきています。「思考力型入試」とか、「新型入試」などという言い方をしています。

このスタイルの入試では、国語、算数といった具合に教科で試験が分かれていません。その場でいろいろな資料などが与えられて、その場で考えて答えてねというような問い方をする入試問題が増えてきています。

「4教科型ではない入試」のメリット

何がよいかというと、そういう入試で受かった子たちは、入学した時の自己肯定感が高くなります。要するに、単なる4教科の点数で偏差値の上位校から受けていき、落ちて入った学校の場合、「希望の学校はダメで、その次の学校もダメで、余った椅子はここか…」みたいな気持ちになる。僕はここが中学受験のよくないところだと思っています。

『中学受験生に伝えたい 勉強よりも大切な100の言葉:『二月の勝者』×おおたとしまさ』(小学館)
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でも、4教科型ではなく、例えば、さきほどの資料を見て答える入試やプログラミングでやる入試、ブロックで課題解決策を表現させる入試などは、いろいろな形でその子のいいところを見ようとします。そうすると、それで入った子どもたちというのは「あ、この学校は自分の一番良いところを見てくれて、取ってくれたんだ」というように思う。すごく自信をもって学校に通えるらしいのです。これは、僕がよく提唱している「中学受験必笑法」にも繋がる考え方なのです。必勝ではなく、笑う方の「必笑」です。

こういう入試は特別な対策は不要で、その子らしさをそのまま出してくれればいいということなんです。いろいろなバリエーションの入試がありますから、どこか合う入試があれば、挑戦してみてください。

こうしたちょっと変わった入試をしている学校は大抵、入試の体験会みたいなものをしています。是非気になる学校の気になる入試があったら、そうした体験会に参加してみてほしいです。参加した時に「あ、この学校のこれやったらすごい面白かった」など、子どもが好印象を持ったとしたら、その学校と相性がよい可能性が高いです。

ただし、こうした新しい入試形式はこれまでの偏差値表に表れてきません。教科の成績とはちょっと違う角度から学力を見ているからです。偏差値表という軸で見ていたこれまでの価値観を持つ塾の先生達は、こういう入試に対しての知見は乏しいと言えます。判断に困るため、先生によってはもしかすると、そういった入試に対して後ろ向きな考えを持っている方も、この業界が長ければ長い先生ほどいるのかなと。とはいえ、子どもの前に開かれている選択肢ですから、塾の先生の意見も聞きながら、最終的には親が自信をもって判断していただきたいなと思います。

宮本 さおり フリーランス記者

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みやもと さおり / Saori Miyamoto

地方紙記者を経てフリーランス記者に。2児の母として「教育」や「女性の働き方」をテーマに取材・執筆活動を行っている。2019年、親子のための中等教育研究所を設立。

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