ネズミも「孤独」にストレスを感じる生き物だ そしてネズミも「諦める」ことを知っている
孤独はネズミにとってもツライ
生き物には孤独を好む者とそうでない者がいる。
孤独を好む動物は、比較的食物連鎖の上位に位置する動物が多い。とくに肉食のネコ科の動物は、若年期のチーターやライオンのような例外はあれど、ほとんど単独で生活をしている。
広大な縄張りを持つことで知られるトラのオスは90平方キロメートル、メスは20平方キロメートルほどの縄張りの中で、交配や子育てを除いては単独で生活している。その縄張り争いは命を落とすほど激しいものである。
その一方、同じネコ科のサーバルキャットも単独生活を営むが、縄張りを侵した他者に寛容で縄張りそのものが重なっているケースも多い。
ネコ科の動物以外でも縄張りは重要なものだ。穏やかな顔をしたコアラはほかのコアラが縄張りに侵入しようものなら、歯を剥(む)き出して噛みついたり引っ掻(か)いたりと手荒な態度をとる。ナマケモノは孤独を好む穏健派の代表格で、好みの樹を取りあわないように生活することで無益な衝突を避けている。
人間はというと、孤独を好んでいると言ったほうがなんとなく自立した印象があってかっこいい気がするけれど、間違いなく群れる動物である。
そもそも霊長類の多くは群れを作って生活している。人に近いゴリラやチンパンジーも群れを作る動物だ。類人猿でも、例外的にオランウータンは群れを作らないが、食べ物の豊富な動物園で複数の個体がいる場合は群れを作ることもあるそうだ。オランウータンの生息している原生林では、食べ物の豊富な時期と乏しい時期の差が激しいため、大きな群れでは生き残ることができないのである。
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