カブトムシの「大きさ」あんなにも差が出る理由

成虫の大きさのカギをにぎる幼虫時の過ごし方

カブトムシの大きさに差が生じるのはなぜなのか(写真:sam/PIXTA)
身近なのに実は知らないことが多い植物や昆虫の生きざま。今回は植物研究者の稲垣栄洋氏の新著『生き物が大人になるまで 「成長」をめぐる生物学』より、カブトムシやチョウが成虫ではなく、幼虫として生まれるのか、その理由について紹介します。

なぜ最初から成虫として生まれないのか?

昆虫は、子どもの幼虫と大人の成虫とで、大きく異なります。例えば美しいチョウも、幼虫の頃は、多くの人が苦手とするイモムシです。また、トンボは、幼虫のときには水の中でヤゴとして過ごします。セミも、幼虫のときには土の中で過ごしていることを、多くの人が知っているでしょう。

昆虫の成虫には、羽があるのが大きな特徴です。成虫は、この羽で移動をします。そして分布を広げて行くのです。これに対して、幼虫には羽がありません。イモムシなどは、早く走ることさえできません。

ひと言で言ってしまえば、昆虫の幼虫は、成虫になることが仕事です。成虫になるためだけの存在なのです。となると、そんな幼虫に存在価値があるのか、考えてしまいます。それなら、最初から大人(成虫)として産まれてくればよいのではないでしょうか。

幼虫の時期にどんな意味があるのか考えるために、子どもたちに人気のカブトムシのことを思い出してみましょう。このカブトムシも、幼虫のときはイモムシのような姿をしています。

カブトムシといえば、とくに体が大きくて立派なものが人気です。でも、ときどき、とても体の小さなカブトムシも見かけます。じつは、このカブトムシは、大きなカブトムシより後に生まれたから小さいわけではないのです。この小さなカブトムシには、どんなにエサをたくさん与えても、体が大きくなることはありません。成虫になってしまうと、その後、どれだけエサをたくさん食べても、もう大きくなることはないのです。

次ページからだが大きいことの利点
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • iPhoneの裏技
  • 就職四季報プラスワン
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ANAが希望退職実施へ<br>雇用維持貫くJALとの差

ANAホールディングス傘下の全日本空輸は10月7日、退職金の割り増しによる希望退職の募集を労働組合に打診。一方の日本航空(JAL)は同日に開かれた定例会見で、人員削減の考えはないと明言。両社で対応が分かれた要因とは。

東洋経済education×ICT