「お賽銭のキャッシュレス化」知られざる新潮流

​各国で普及する「献金の脱現金化」の是非

パリのサン・トゥスタッシュ教会内に置かれた献金用の決済端末(写真:筆者撮影)

ある日、パリで時間より早めに待ち合わせ場所に着いたため、近くにあった教会にふらりと寄ってみた。名前はサン・トゥスタッシュ教会。17世紀の建物だ。

見事なゴシック建築で建てられた内部では、ステンドグラスを通して堂内に広がる光が、礼拝者を500年前にタイムスリップさせる。そこでふと、堂内各所に見慣れない電子機器が置かれているのに気づいた。

教会へ献金するためのクレジットカード決済の端末である。触ってみると手順は簡単だった。寄付したい金額をユーロで入力したら、クレジットカード(またはデビットカード)をかざす(または差し込んで暗証番号を入れる)。お店で支払いをするように、非接触決済で寄付できた。カードの利用控はメールで送られた。

アプリ導入で献金額が増加

このサン・トゥスタッシュ教会を筆者が訪れたのが2020年10月。コロナ禍真っただ中のフランスにおいて、半年ほど外出や飲食店などの制限が緩んだ時期である。献金のカード決済は、新型コロナウイルス対策なのかと思うかもしれないが、じつはコロナ禍以前の2018年1月から始まっている。

パリ中心部にあるサン・トゥスタッシュ教会(写真:筆者撮影)

この現金に代わる決済方法は、フランスではパリ市内16区にあるサン・フランソワ・ド・モリトール教会で初めて導入された。その後、フランス各所に広がっている。仏メディアのフランス・アンフォによると、カトリックのパリ教区における信者1人あたりの年間献金額は、98ユーロ(約1万2000円)。パリ教区において、信者からの献金は財源の14%にあたるという。

スマホのアプリを用いた献金方法も拡大中だ。フランスのスタートアップ、オボール・デジタルが開発した「ラ・ケート(La quête)」というアプリには、現時点で65の教区および1万2000カ所の教会が参加する。仏AFPによると、同アプリを導入した教区では、献金額が2〜5倍に増えたそうだ。

次ページ日本でも拡大するキャッシュレス化
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 財新
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT