「お賽銭のキャッシュレス化」知られざる新潮流 ​各国で普及する「献金の脱現金化」の是非

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宗教活動にまつわる決済電子化の流れは、日本でも起きている。今年10月、真宗大谷派はお賽銭や読経、納骨の際のお布施に、クレジットカード決済を導入した。

現金の代わりに電子決済の利用を促し、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図ることが理由だ。本山である京都の東本願寺に決済アプリの端末を設置し、備え付けられたタブレットを操作して決済する。2023年を目処に全国の事務所に広げる予定だそうだ。

東本願寺以外にも、大きなところでは2018年に日光の二荒山神社や輪王寺が、海外からの観光客に対応するため、QRコードでお賽銭を納められる仕組みを取り入れた。

すでに中国の寺院などで導入されているような形である。日光ではほかに、クレジットカードや交通系ICカードでの拝観料の支払いを可能にしており、地域全体で電子マネーへの対応が進んでいる。

無人の場合の安全対策にも

全国各地の中小のお寺や神社でも、電子決済の導入を始めているところは出てきている。このようなQRコードなどを用いた決済は、特に小さな無人のお寺や神社において、安全上の対策にもなりそうだ。

例えば、愛知県東海市には聚楽園大仏という、奈良の大仏よりひと回り大きい露天の大仏が、境内を市営公園に囲まれるように鎮座している。地域の人に愛されている大仏さまで、近所の人が公園内を散歩がてら、お参りに寄る。そこにかつては賽銭箱が置かれていた。

しかし、境内に寺務所などはなく夜は人通りがなくなるため、賽銭泥棒が後を絶たなかった。結局、賽銭箱は撤去され、地域の人々がお賽銭を納めたいと思っても、納める場所がなくなってしまった。お賽銭の電子マネー化は、このような状況を改善できる可能性も持つだろう。

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