そして、彼を“おじさん”だと感じてしまう、決定的な出来事が起こった。食事を終えて、喫茶店にコーヒーを飲みに行ったときのこと。そこは、コーヒーの後に、湯呑み茶碗に入った日本茶が出てくる店だったのだが……。
「コーヒーを飲んでいたときには気にならなかったんですが、お茶を飲むときに、湯飲み茶碗に口を窄めてズズズーッて啜った後に、『ア〜〜〜ッ』って、飲むたびに息を吐きながら言うんです。祖父母の家に行くと、おじいちゃんがそういう飲み方をしていたのを思い出しました。もう100年の恋も覚めてしまったというか、この人と恋愛するのは難しいと思いました」
そして、初美はこのデートの後に交際終了を出してきた。
クチャクチャと音を立てて食べる。食べ方が汚い。箸の持ち方がおかしい。鼻毛が出ていた。ネクタイに食べこぼしのシミがあったなど。これらは、女性会員からよく聞く話だ。どれも相手に伝えればすぐに直ることだし、相手を好きになっていれば、注意して直してもらって済むことだろう。しかし、相手をまだ好きになっていないと、一瞬で気持ちを冷ます地雷となる。
「俺が上」すべてにマウントを取ってくる
そこからまたお見合いを始め、次にお付き合いに入ったのは、自営業の依仁(仮名、38歳)だった。
「年齢も近いし、今度こそうまくいくといいなと思っています」
最初はこう言っていたのだが、2度目のデートを終えると、やはりお断りを出してきた。
「うまく言えないんですけど、今回の男性は、一緒にいて心地よくないというか。人との関係にいつもマウントを取っている気がするんです。いつも自分が高いところにいる。
例えば、お見合い後の初デートのときに、『僕は自営なんで、仕事を取ってくるのも自分の実力。交渉ごとはプロで、8割方仕事が取れる自信があります』とか、『コロナで世の中大変だけど、おかげさまで僕はまったく収益が落ちてないんですよ。だから、経済を回す手助けの一環だと思って、奮発して結構高いパソコンを買い直しました』とか。まあ、そのあたりは普通に聞いていたんですけど、この間の発言は、すごく嫌な気持ちになりました」
ある大きな仕事の話が進んでいたのだが、担当者が、時間は守らないし、仕事の仕方もとてもルーズだった。彼の連絡ミスが、依仁の大きな失敗につながった。
「向こうの会社の上の人とは仲がよかったので、担当を変えてもらいました。俺を甘く見るなっての。まあ、向こうもいちばん怒らせてはいけない相手を怒らせたってことですよね」
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