そのときのことを初美はこんなふうに振り返った。
「なんかそのときの冷酷な薄笑いを見て、背筋がゾッとしたんです。この人と結婚してもしも私が彼を怒らせたら、どんな仕返しをされるのかと思ったら、急に怖くなりました」
そして、この交際終了をした数日後に、面談したいと申し入れてきた。
自己否定をしないことが、婚活成功の秘訣
「婚活を始めたら、すぐに結婚できると思っていたんですが、思っていたよりもずっと難しいんですね。私、もしかしたら結婚不適合者なのかもしれません」
初美は、すっかり自信をなくしていた。そこで、私は言った。
「最初は、誰もが初美さんと同じで、婚活すれば簡単に結婚ができると思っているんですよ。だからこそ出会えないと自信をなくしてしまう。でも、婚活にとっていちばん大切なのは、マインド設定なんです。出会えると思って、活動をしていくことが大事なの。気持ちが後ろ向きになると、相手を見る目も曇ってくるし、どんなにいい出会いをしても、相手のいいところが見えなくなっていく。負のスパイラルに陥るんです」
これは、婚活がうまくいっていないすべての人たちに言いたいことだが、まずは自己否定をしないことだ。
「私は、自分のことが好きじゃない」と言う人がいる。そういう人は、自分を好きになることから始めてほしい。自分のことが嫌いな人を、他人が好きになってくれるはずがない。
そして、仮交際の期間中は、相手の人柄を知る期間だと思って気持ちを楽にして臨むといい。「この相手と結婚できるだろうか」ということにとらわれすぎると、相手をジャッジする目がどうしても厳しくなるからだ。もっと肩の力を抜いて、お付き合いを楽しむようにしてほしい。
20代の頃は苦労なく恋愛ができたのに、30歳を過ぎたら厳しくなった。そう思っている人たちも多いだろう。これは、なぜなのか。周りに独身者が大勢いたこともあるのだが、若いときにはまだ考え方が柔軟で、人の嫌なところが今ほど目につかなかったからではないか。積み上げられた知識や経験で、人は人間的な厚みをつけていく。だが一方で、いいもの悪いものを選別する目もできてしまい、頑固になっていく。
初美にもこの話をして、続けた。
「だからね、肩の力を抜いていきましょう。 きっと、大丈夫!」
婚活で、出口の見えないブラックボックスに迷い込んだ人たちは、この言葉を自分に言い聞かせてほしい。
きっと、大丈夫!
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