フランス貴族の「気晴らし」何とも実用的だった コロナ禍落ち込んだ時、自分を盛り上げるコツ

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外出を控えがちな昨今、買うものといえば、生活必需品のみとなっています。そんな中、義理の叔母は、ひいきにしている花屋から、毎週ブーケを届けてもらうよう手配しているそうです。「初めは、私なりの経済活動への貢献のつもりでしたが、そのうち、花が届く日を心待ちにしている自分がいました」。

どんな花を混ぜてもらうかはフラワーデザイナーに任せて、サロンに置く大きめのアレンジメントと、寝室に置く小さめのものを依頼しているということです。「毎週、『今回はどんな花だろう』とワクワクしています。いくつになっても、そして自分で買ったにしても、花を受け取るというのは、うれしいものなのね」。

この叔母は1人暮らししていることもあり、部屋に生花があると気分が明るくなる、とも言っていました。この気持ちは、家族と暮らす私にもわかる気がします。誰でも孤独な心を持っているもの。そこに花一輪あるだけで、何かほっとするのは、同じ生命を持つ存在だからなのでしょう。

コロナ禍で人の命が危険にさらされている中、花どころではない、と思いがちですが、こういうときこそ、花束を、大切な人に、そして自分に贈ってあげてはいかがでしょう。

「心をリセットする」時間は大事

皆さんは、瞑想するという習慣はありますか? 瞑想は、座禅を組んだり、ヨガのトレーニングを積まずとも、誰でも、どこでもできることです。

私の瞑想タイムは、なんと、アイロンがけをするとき。シャツやシーツ、タオルや布巾まで、気が向くと、ひたすらアイロンをかけるのです。霧を吹きかけ、シャツの襟、身頃、そして肩。アイロンのとがった先も上手に使いながら、もれなくシワを伸ばしていくのです。

そんな風に集中していると、段々頭の中が真っ白になっていきます。心地よい布ずれの音、シーツのスムースな手触り、蒸気の匂い――。感覚が研ぎ澄まされて、普段は見逃している小さな事象を知覚できるようになる、これが瞑想状態なのです。

要は、頭と心の雑音から解放され、無心になる時間を持つこと、それが瞑想なのだと思います。心が不安定になりがちな昨今ですが、こうして「無になる=心をリセットする」ことは大切。瞑想の方法は人それぞれでしょう。ランニングする、ウォーキングする、土いじりをする、編み物をする――自分なりの瞑想法を持つことを勧めます。

コロナ禍で、夫もテレワークが多くなりました。そんな夫の新しい習慣は、夜の散歩。仕事を終えると、コートを引っかけ、ハンティング帽を被り出かけていくのです。春はまだしも、フランスの秋冬は日が短いので暗闇の中を歩くことになります。かえって気分がふさぐのでは、と思いきや、そうでもないようです。

「暗い中、家々の小さなともし火が点っているのを見ると、気持ちが安らぐんだよね。仕事でむしゃくしゃしたことも、どうでもよく思える」

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