グッズ売り切れ続出、大化けした妖怪ウォッチ ゲーム会社が仕掛けた緻密な戦略とは

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「目指したのはみんなに長く愛される作品。現代の『ドラえもん』を作りたかった」

ドラえもんの主人公「のび太」は落ちこぼれのキャラクターだが、「今の時代は、個性がなく何をやっても普通の子に対してのほうが感情移入しやすい。妖怪ウォッチの主人公ケータは普通というのが欠点、という設定にした」。

クロスメディア展開しても、そうした世界観を崩さないように、日野社長はパートナー同士の情報共有に時間を割く。「子供は手に取った商品が本物か偽物か、感覚でかぎ分けられる。だから、あらゆるものに関して、世界観についてのルールを統括管理している」。

頻繁に打ち合わせを開催

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飛ぶように売れているニンテンドー3DS向けソフト(左)やおもちゃ「DX妖怪ウォッチ」(右)(撮影:尾形文繁)

現在、妖怪ウォッチのクロスメディア展開に携わるパートナーは9社。テレビ東京やバンダイなどのほかに、広告代理店の電通、音楽ではエイベックス、DVDではKADOKAWAなどとも組む。

この10社は通常行う月1回の制作委員会の会議のほかに、2週間に1回、宣伝会議と称して、電通に集まる。電通のコンテンツ局アニメ部によれば、ここまで頻繁に打ち合わせを行う事例は珍しいという。各社は年間のスケジュールを共有し、次の仕掛けを仕込む。日野社長は各社の企画に目を通し、指示を出す。直近の目玉は、7月10日に発売するゲームソフトの第2弾『妖怪ウォッチ2 元祖/本家』で、すでに予約が殺到している。

今後の課題は、ポケモンのように、息の長いコンテンツへ育てられるか。「大人も子供も楽しめるコンテンツにしていきたい」(日野社長)。すでに頭の中で新しい仕掛けを思い描いているようだ。

週刊東洋経済2014年6月14日号〈6月9日発売〉掲載の「核心リポート01」を転載)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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