2020年11月下旬、NEXCO中日本は、新東名高速道路で進められていた「御殿場ジャンクション(JCT)」と「浜松いなさJCT」間のおよそ145kmの6車線化工事が12月22日に完成すると発表。それに合わせて静岡県警では、この区間の最高速度規制を時速120kmに引き上げることを発表した。
日本の高速道路の最高速度の上限は、多くの区間で長らく時速100kmにとどめられていたが、2017年から新東名と東北道の一部で時速110kmへ引き上げる試行が行われ、2019年からは、同じ区間でさらに10km引き上げられて時速120kmでの試行が続いていた。
その結果、下表のように試行前後で実勢速度はほとんど変わっておらず、事故も増えていないことなどから、安全性が確認されたとして、新東名の静岡県区間がほぼ6車線化されたのに合わせて、このたびの引き上げにGOサインが出されることになった。
120km化は歓迎だが懸念も…
新東名は、もともと時速120kmで走行できるよう設計されており、ようやく一定区間とはいえ、設計通りの速度で走れることになる。
東京都内の自宅から故郷の愛知県へマイカーで走る機会が多い筆者にとっても、これまでは4車線区間と6車線区間が混在し、せっかくの道路が宝の持ち腐れのように感じることがしばしばだったので、今回の発表はこれまでより快適に走れるようになるだろうという期待で、率直に喜ばしいニュースに感じられた。
というのも筆者は海外、とくにヨーロッパ諸国でクルマを運転した経験が多く、そこでは高速道路の最高速度が時速120~130kmほどの国がほとんどだったからだ。その快適さに慣れてしまっていたため、新東名でも試行区間以外は時速100kmに抑えられていたことが、歯がゆく感じていた。
とはいえ、大型車についてはこれまで通り最高速度は時速80kmのままであり、左側レーンの走行帯指定も維持されたため、同じ道路で最高速度が40kmも異なる車種が混在することになる。
また、欧州では追い越し車線はその名の通り、あくまで“追い越しをするときにのみ”走る車線で、追い越しを終えればすぐに走行車線に戻るという当然のルールがおおむね徹底されているのに対し、日本では延々と追い越し車線を比較的ゆっくり走るクルマも目につく。
このようにスムーズな走行を妨げるような走行をするクルマが見られるため、制限の引き上げに合わせてあらためてドライバーにこうした基本を再徹底することが求められる。
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