世界遺産の観光に「高速バス」が便利な理由 全国に広がる乗り換えなしの「直行便」路線網

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京都駅前に停車する高野山行き高速バス(筆者撮影)

9月半ば、京都で京阪の路線バスに乗車した際、車内の「京都~高野山高速バス直通便!」と大きく書かれたチラシが目にとまった。世界遺産に登録された寺社が点在する京都と、こちらも世界遺産に登録されている高野山(「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の1つ)を直通で結ぶバスが走っていることに驚いたのだ。

そういえば、夏に知床を訪れた際にも、女満別空港と知床探勝の中心ウトロを直通で結ぶバスが走っているのを見て、改めて世界遺産の集客力の底力を垣間見た気がした。そこで今回は、「世界遺産に直行する高速バス(および長距離バス)」にフォーカスしてみたい。

京都と高野山を2時間40分で結ぶバス

チラシが目にとまった京都と高野山を結ぶ直通バスは、実は昨年から運行を始めた路線である。昨年の初運行は9月18日から11月30日までの秋の観光シーズン限定であったが、今年もまったく同日程で季節運行されている。

京都駅の八条口を午前9時20分と15時10分の2便、高野山発も奥の院前を9時20分と16時発の2便、あわせて1日2往復を京阪バスと南海りんかんバスがそれぞれ1往復ずつ担当する。

京都から高野山まで鉄道で向かおうとすると、京都から大阪まではJR京都線、大阪で大阪環状線に乗り換え、新今宮で南海電車に乗車、高野線の終点極楽橋からケーブルカーに乗り、さらにそこでバスを乗り継いで、ようやく山上の宗教都市高野山にたどり着く。

(筆者撮影)

京都~大阪間を新快速、新今宮~極楽橋間で快速急行を使っても3時間ほどかかり、しかも4回の乗り換えは慣れないと気苦労をともなうものだ。

高速バスは京都駅前を出発すると、ほどなく上鳥羽出入口から第二京阪道路に入り、高速京田辺バス停に停車した後、近畿道、阪和道経由で、岸和田和泉ICから一般道に入り、高野山を目指す。片道2500円、WEBやコンビニでも予約可能だ。

10月の平日の朝、八条口の乗り場に行ってみると、9時20分発のバスに10人ほどの乗客が乗り込むところだった。京都も高野山も外国人に人気が高く、昨年は外国人客の利用も多かったとのことだが、今年はインバウンドがほぼ消滅していることから、すべて日本人であった。

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