タクシー最大手「苦しい地方」で営業を続ける訳 第一交通社長「すべてが儲かる仕事ではない」

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国内最大手のタクシー会社、第一交通の2020年度は新型コロナで苦しい出足となった(写真:第一交通産業)
新型コロナウイルスの打撃を大きく受けたタクシー業界。最大手の第一交通産業もその1社だ。2020年4~6月期の同社の営業損益は23億円の赤字となった(前期は9.8億円の黒字)。
北九州市発祥の第一交通は8000台強のタクシーを保有(業界全体では20万台強)。九州や関西圏に強く、東京にも進出している。配車アプリやライドシェアなど変化の波が押し寄せる中、生き残り戦略をどう描いているのか。田中亮一郎社長を直撃した。

テレワークで都市部の戻りは鈍い

――2020年度は新型コロナで厳しいスタートとなりました。

4月と5月はとくにひどかった。例えば福岡では前年同月比で売り上げが70数%も減った。とくに戻りが鈍いのはテレワークなどが進んだ都市部のほうで、長崎県の佐世保など地方では前年を上回る地域も出ている。

コロナ以前から取り組んできた施策も実を結んでいる。具体的にはバスなどが撤退した場所で一定のルートを運行し、外出を助ける「おでかけ交通」や、妊婦さん向けの「ママサポートタクシー」などだ。こうしたサービスを1度使ってくれた人が普通のタクシーでも固定客になってくれている。

――今年5月には最大310億円の借り入れを行うと発表しました。コロナ禍ということで手元資金を厚くする狙いなのでしょうか。

そういう狙いもあるが、半分程度は同業他社のM&A(企業の買収・合併)など拡大戦略に充てる目的で設定している。ただ、こちらから積極的に買収を仕掛けるということではない。これまでも、引退する経営者の方から頼まれて買収や事業譲り受けなどをしてきた。今回もそういう狙いで、足元では4、5カ所で話がきている。

とはいえ、すぐに買収というのは少ないと思う。稼働率が下がっている状態で買うのはこちらとしてもよくないし、売る側にしても価値が下がるのでよくない。

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