タクシー最大手「苦しい地方」で営業を続ける訳

第一交通社長「すべてが儲かる仕事ではない」

第一交通が数十台で運営しても規模の利益が得られない地域では戦えない。そういう点を踏まえると買収の条件として、まず重要なのはその地域で規模がとれるかどうかだ。ほかにも地方で1台あたりの収入が多い場所は魅力的に感じる。進出すると決めたわけではないが、富山は金沢よりもかなり収益がいい。そういう地域はまだ結構ある。

ただ、自社で台数を確保するだけではいけいない。そこで、力を入れているのが提携だ。例えば、大企業やマスコミ関係といった移動することが多い会社とは日頃から付き合いがある。そういった人が地方に行くとき、第一交通が提携先を紹介し、足を提供していく。

提携先を今の2倍にしたい

――提携関係というと、例えばタクシーチケットの相互利用などが思い浮かびます。具体的にどのように連携していくのでしょうか。

主な目的は、第一交通がカバーできていない地域や、展開はしていても台数が少ない場所で提携先に協力してもらうことだ。地方のタクシー会社にとっては、多少のコミッション(委託手数料)を得ることができお互いにメリットがある。

たなか・りょういちろう/1959年生まれ。1982年に全国朝日放送(現テレビ朝日)入社。1985年に第一交通産業取締役。専務取締役、副社長を経て2001年から現職(記者撮影)

現在の提携先は420社、第一交通との合計の保有台数は4万5000台ほどになる。ただ、これでもカバーし切れていない地域があるので、今の2倍くらいの会社と提携したい。

小さな会社だと、車を入れ替える際のリースの与信も通りにくい。そうした場合、当社が一括で借りて貸すこともある。ほかにも管理職を派遣してほしいという話もある。社長が1人で運行管理をしている会社などもあり、そうした人手を貸してほしいということだ。また経営者の方が75歳になったら引退したいので、会社を引き受けてくれといった話も出てきている。

最終的には提携先にもおでかけ交通などをやってほしいと思っている。システムはうちから出すから、少しでも売り上げを積み上げていってもらう。そうしないと自家用有償(編集部注:タクシー事業者が存在しないような過疎地に限り、NPO法人などの事業者が対価を受け取って自家用車で人を運ぶ仕組み)やライドシェアが入ってくる。

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