御殿場~浜松「120km/h化」で新東名はどうなる 期待は大きいが少なくない課題や懸念が残る

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新東名全体で考えると、愛知県側ではまだ4車線区間が残り、当分の間、最高速度は法定速度である時速100kmから変わらない。さらに、新東名の東京側の終点は、現時点では海老名市となっている。

2023年度に予定されている御殿場JCTから「海老名南JCT」までの工事が終了し、全線が開業しても、その後は東名で一番の渋滞区間に突入してしまい、現在緩和のための工事が行われているとはいえ、根本的な解決には至らなさそうだ。

つまり、制限速度の引き上げは快適な走行につながるかもしれないが、走行速度が実質的にあまり変わらなければ所要時間の大幅な短縮にはならないし、現時点では御殿場より東の恒常的な渋滞は残るうえ、全線開業時にも海老名以東の渋滞が解消される特効薬はなく、『快適な新東名(と東名)』への見通しは明るくない、ということになってしまう。

高速道路は社会に何をもたらすのか?

実は、120km引き上げへの本格施行は、新東名に先立って今年9月から東北道の「花巻南IC」~「盛岡南IC」のおよそ27kmの区間で始まっていた。

東北道の最高速度120km区間(写真:yamahide / PIXTA)

岩手県警では、速度制限引き上げ後の通行車両の実勢速度を計測しているが、昨年までの試行時と同様、時速100kmのときと時速120kmのときで、ほとんど変わっていないという結果が出ている。

逆にいえば、時速100km制限でも、それを少し上回る速度で走っていたクルマが少なくなかったということであるし、時速120kmに引き上げたとはいえ、速度を無理に上げようとするクルマがあまり見られなかったということでもある。

それでもこれまでは時速100kmのところで少し上回るスピードで走るのは、心理的に負担な面もあったが、制限速度が引き上げられればそれも解消し、ストレスが軽減されそうだ。

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クルマの未来は、「より速く走る」方向ではなく、脱石油を目指す環境志向と、自動運転に代表される安全志向、快適志向へと向かっている。もちろん制限速度の引き上げは、今後本格化が見込まれる大型トラックの無人隊列走行などにはプラスかもしれないが、こうした社会の目指す方向に、高速道路がどう貢献するかという視点を持って、考えていかなければならないのかもしれない。

なお、高速道路の制限速度の引き上げは、新東名・東北道(岩手県の一部区間)のほか、東北道の「浦和IC」~「佐野スマートIC」の約53km、常磐道の「柏IC」~「水戸IC」の約71km、東関東道の「千葉北IC」~「成田JCT」の約26kmの計5区間でも実施される予定だ。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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