通学できず心が限界、深刻化する大学生の孤立 今年に入って休学や退学を考えた人が3割

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「教授会などでは、メンタルヘルスの重要性が指摘されています。特に、孤立です。本学の場合、近くの寮やアパートに住んでいる学生が多いんですが、彼らはずっと部屋にこもっている。感染の懸念から帰省もしていません。移動を抑制するために、大学側が『上越市から出ないように』と言っていたのです。

本学では大学3年生を対象に、秋に3週間ほど教育実習を同地域の学校で行っていますが、今年は5日間のみ。実習は教員になるためのモチベーション向上に大切な機会です。それなのに、期間が短縮されて、これで効果があるのか、懸念しています」

生きる力の「元手」を失ってしまう

大前教授はさらにこう語った。コロナ禍でのすべての大学に関わる話だ。

「友人ができないという人間関係の問題、膨大な課題や対話性のないオンライン授業による学習面の問題、アルバイトができなくなった学生の経済的な問題。この中の1つでも問題が深刻化してしまうと、学生は社会に出てから必要な“生きる力”の『元手』を失ってしまいます。

生きる力とは、『実際の社会や生活で生きて働く知識および技能』『未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力』『学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性』などを指します。

それを育む社会的な条件である『文化面や人間関係面での元手』を回復することが喫緊の課題。これらは大学での人間関係や学びでも獲得することができます」

大前教授は続ける。

「大学とは、主体的・対話的で深い学びをする場所です。いわゆるアクティブ・ラーニングの考え方であり、『社会に開かれた教育課程』によって学校や教科の枠を超えて生涯にわたる、生きる力を育む。そういうことを目指す場所なんです。掛け声だけの精神論やスローガンではダメ。

各大学はそれぞれの課題に関して調査を行い、エビデンスに基づいて現状を把握し、検証していくことが欠かせません。そして現状では、職員らの増員も必要でしょう。特に親身になって学生と向き合うカウンセラーや、より多くの学生を安全に登校させるための支援員の増員から真剣に取り組むことが肝心ではないでしょうか」

取材:板垣聡旨=フロントラインプレス(Frontline Press)所属

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