学生に「何を学んだのか?」を聞かない企業の失態 なぜサークルやバイトのことばかり聞くのか?
本章の筆者(曽和)は今年で50歳、いわゆる団塊ジュニア世代です。私が大学生だった頃は、授業に出る学生は今ほど多くはなく、人によっては(私も実はそうでしたが)テスト以外は授業にほとんど出ずにアルバイトやサークルなどの課外活動ばかりしているということも珍しくありませんでした。そのため、日本の大学は「レジャーランド」「パラダイス」であるとマスコミなどでも揶揄されていました。
そんな時代にまじめに授業に出ていい成績を取っている人は、今考えると偏見も甚だしいと思うのですが、「せっかくの与えられた自由を謳歌せずに、勉強ばかりしているガリ勉」と就活などでは必ずしも評価されていなかったと思います。
また残念ながら私の知る限りにおいては、現在でも企業の人事の多くはいまだにそう考えています。
「何を学んだのか」を尋ねない日本企業の現状
その証拠に企業の採用面接では、今でも多くの面接官がアルバイトやサークル、インターンシップなどの課外活動のことばかり質問してきます。学業や成績のことについて、きちんとヒアリングをする面接官はそれほど多くはありません。学業に関する活動に重きを置いているならば、このようなことにはならないはずです。
学業とは単に知識をインプットする受動的な行為であり、それを「ガリ勉」のごとく、いくらしていたからといって、企業に入って仕事で成果を出せるかどうかにはあまり関係ない、それよりも、キャンパスを飛び出して、自分で何かを能動的に行うことのほうが大切などと考えているのかもしれません。
そのため、「どんな授業を受けてきたの?」「なぜその科目にしたの?」「そこで何を学んだの?」とは聞かないのです。
しかし、実は状況は変わっています。私たちの頃とは異なり、今の大学生は皆、きちんと授業に出ているのです。学生の本分は学業ですから、当然と言えば当然ですが、これは今時の学生がまじめになったことが理由ではありません。文部科学省の方針が変わり、いわゆる「シラバス厳格化」が進んだことがそもそもの原因です。
「シラバス」とは、講義要項のことです。その科目を担当する大学教員が1年間、あるいは半年間の授業計画を、学生に伝えるためのものです。内容としては、講義名、講義内容、スケジュール、担当教員の氏名、講義のねらいや目標、講義の形式、必要な教科書・参考書、評価方法、その講義を受けることができる学年など、講義に関する情報が記述されています。
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